生存圏アジアリサーチノード
更新日: 2024/05/27
最新情報
2023年度 生存圏アジアリサーチノード活動報告書を公開
報告書リンク:ARN-Activity-Report_2023_1120_web-1.pdf (kyoto-u.ac.jp)
生存圏アジアリサーチノードとは
生存圏科学の国際化の推進と国際連携の強化
生存圏研究所は、平成28年度から、「生存圏アジアリサーチノード(ARN)」を整備・運営することで、国際共同研究のハブ機能を強化するとともに、生存圏科学を支え、さらに発展させる国際的な人材育成を進め、地球規模で起こる課題の解決に取り組んでいます。インドネシア国立研究革新庁(BRIN)にJASTIPと連携して生存圏アジアリサーチノード(ARN)共同ラボを設置するとともに、マレーシア・日本・台湾・中国での国際シンポジウムの開催、オープンセミナーのインターネット配信、インドネシアでの大気科学に関する授業や実習、生存圏データベースのミラーサーバー設置などの活動を行なっています。令和3年には、赤道大気レーダー(EAR)の完成から20周年を記念した赤道大気に関するインドネシア国立航空宇宙研究所・京都大学国際シンポジウムと併催で、第6回アジアリサーチノード国際シンポジウムを、令和4年にはBRINと生存研の改組に伴い、相互協力関係の強化を図るため第7回アジアリサーチノート国際シンポジウムをそれぞれオンライン開催しました。生存圏研究所は、ARNの活動をとおして、生存圏科学の一層の国際化を推進します。
生存圏科学アジアネットワーク
生存圏研究所が海外に展開する大型設備・フィールドを活用するために海外研究機関と連携し、生存圏科学アジアネットワークを形成しています。
大型設備・フィールド |
赤道大気レーダー EAR観測所, Kototabang |
アカシア熱帯人工産業林 |
京大サテライトオフィス |
ARN & JASTIP共同ラボ |
海外連携先 |
LIPI インドネシア科学院 |
LAPAN Bandung, インドネシア |
RIHS インドネシア公共事業省研究開発総局人間居住研究所 |
NARLインド宇宙庁国立大気科学研究所 |
タイ・チュラロンコン大学 |
他の研究プログラムとの連携
アジアリサーチノードは、JASTIP、SATREPS、IUGONETといった他の研究プログラムと連携した活動を行っていると共に、国内の研究ネットワークである生存圏フォーラムとも連携しています。
日ASEAN科学技術イノベーション共同研究拠点 |
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熱帯荒廃草原の植生回復によるバイオマスエネルギーとマテリアル生産 |
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超高層大気長期変動の全球地上ネットワーク観測・研究 |
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省庁・機構・公的研究機関: 47機関, 大学: 59機関、民間企業: 35社以上 |
ASEANと日本のハブ機能の強化
アジアリサーチノードではインドネシア・チビノンのLIPI・生物機能材料研究センターに「生存圏アジアリサーチノード(Asia Research Node; ARN)」の共同ラボを設置しています。これらを活用し、国内の様々な研究機関が生存圏科学アジアネットワークの海外研究拠点へのアクセスを促進することで、ASEANと日本のハブ機能の役割を担っています。 さらに、海外からキャパシティビルディング活動として、海外の若手研究者を国内の施設の共同利用研究に引き込むための枠組みを組織しています。
国際共同研究プロジェクト
生存圏アジアリサーチノードでは、生存圏科学のアジア展開に関連し、赤道ファウンテン、熱帯バイオマスの生産・循環利用・環境保全、生存圏データベースのミラリングの3つのサブ課題に関する国際共同研究プロジェクトを推進しています。
赤道ファウンテン共同研究
赤道域で地表から放出される大気物質は、対流圏を循環しつつ積雲や巻雲の生成・発達に寄与し、さらに対流圏界面を通過して成層圏に噴出され中高緯度に広く輸送されます。赤道対流圏を源泉とする大気波動は中層大気の特異な長周期・不規則変動を駆動します。電離圏では中性風によるダイナモ電場が地球磁場と相互作用してプラズマを噴き上げます。 このような赤道域で特徴的な物質・エネルギーフローを「赤道ファウンテン」として総括的に捉え、その変動が特に激しい熱帯アジア・西太平洋域で、赤道レーダー拠点観測、広域ネットワーク観測、衛星データ、数値モデルを駆使して、その動態を解明し、全球に及ぶ大気変動を引き起こすメカニズムを定量的に解明しています。 |
熱帯バイオマスの生産・循環利用・環境保全共同研究
東南アジア地域は熱帯雨林をはじめ豊かな生物資源を有しており、熱帯産早生樹などのバイオマスを高度に利用して、森林環境の保全・育成と新産業の創成、安心で安全な生活の場を提供する大きな可能性を秘めています。インドネシアをはじめとする東南アジア地域の研究者と日本の研究者が連携し、熱帯バイオマスの特質を理解しつつ、有用熱帯植物の育種、生理活性物質の生産、エネルギー、バイオ燃料、機能性材料などへの変換法を開発し、熱帯材の劣化制御法や安価で高強度な木造住宅の建築法を開発し、熱帯バイオマスの生産・循環利用・環境保全に貢献します。 |
本課題ではJASTIP、SATREPSといったプロジェクトと連携し、熱帯バイオマスに関する下記の国際共同研究を推進しています。
- 熱帯バイオマスの機能性材料、化学品、燃料への変換
- 材料生産に適した有用樹種の探索
- 木材食害性昆虫の侵略制御
- 熱帯微生物や酵素を利用した環境浄化
- 安全性の高いエコハウスや構造部材の開発
- 有用な形質をもつ植物の育種、材料開発と荒廃地の環境修復
生存圏データベースの国際共同研究
生存圏科学においては、個別の研究成果を蓄積し相互参照を推進するデータベースの整備が重要です。「生存圏データベース」は年間のアクセス回数が1億回に達しています。データ保安上も有効な、生存圏データベースの複製を海外に配置してアクセス性を向上することから始め、各国の研究者が積極的にデータベースを構築する共同研究を推進します。
「生存圏データベース」とは、研究所が蓄積してきたデータの集大成です。
- 特にMUレーダー・赤道大気レーダー(EAR)による大気の長期観測データベースの重要性が認められ、生存圏研究所は2016年3月にICSU(国会科学会議)のWDS(世界科学データシステム)のRegular Memberに認定されました。MUレーダー・EARを含む生存圏データベースを維持・発展させ、データの国際利用の推進がICSU-WDSからも要請されています。
- 生存圏データベースのうち独自に取得している一次データ(MUレーダー、EAR)を archive data としてコピーしてインドネシアに設置し、適宜 mirroring することでデータベースの保護を行い、インドネシアからのアクセス性の向上を図っています。
- データ交換システムであるIUGONETの機能を活用して、インドネシア国内で生存圏データベースの活用を進めています。このため、データ記録装置(RAID, 140TB)とデータ管理用パソコンをバンドンにあるLAPANの研究センターに移設しています。
- 生存圏研究所の木材多様性データベースを活用し、インドネシアの材鑑標本庫との共同研究を推進しています。
人材育成
アジアリサーチノードを中心としたアジア域における研究教育ネットワークをベースに、国際的に活躍しリードできる若手研究者・技術者の養成を図ります。生存圏科学の広範な普及を図るため、国際スクール(Humanosphere Science School)をインドネシア及び他のアジア諸国において開催するとともに、生存圏アジアリサーチノードを活用した共同研究を実施し、生存圏科学を支える国際的な人材育成を進めています。
共同ラボ
生存圏アジアリサーチノードではインドネシア・チビノンのLIPI・生物機能材料研究センターに共同ラボを設置しています。これらを活用し、国内のさまざまな研究機関が生存圏科学アジアネットワークの海外研究拠点へのアクセスを促進することで、ASEANと日本のハブ機能の役割を担っています。さらに、キャパシティビルディング活動として、海外の若手研究者を国内の施設の共同利用研究に引き込むための枠組みを組織しています。
国際スクール、シンポジウム
生存圏アジアリサーチノードを中心としたアジア域における研究教育ネットワークをベースに、国際的に活躍しリードできる若手研究者・技術者の養成をはかります。生存圏科学の広範な普及をはかるため、国際スクール(Humanosphere Science School)をインドネシア及び他のアジア諸国において開催するとともに、生存圏アジアリサーチノードを活用した共同研究を実施し、生存圏科学を支える国際的な人材育成を進めています。
2018年10月18日・19日に、インドネシア共和国北スマトラ州メダンにて、生存圏科学スクール Humanosphere Science School(HSS 2018)を開催しました。
オープンセミナーの開催
ネットワーク機能を用いたオンラインミーティングシステムを利用して、各種生存圏科学に関する英語講演を海外に双方向配信するオープンセミナーを実施しています。
[RISH&LIPI] 2018/10/24 ”International agricultural cooperation between Taiwan and Central America/Fiji: citrus diseases as an example” by Dr. Chun-Yi Lin (Mission researcher, RISH Kyoto University). [RISH&LIPI] 2018/3/27 “The Special ARN Student Seminar in Humanosphere Science” at Indonesian Institute of Sciences (LIPI), in Indonesia. A total of four RISH graduate students presented the achievement of their nearly 2-month oversea training in the seminar. The presentations were broadcasted live to RISH through video conferencing. [RISH&LIPI, LAPAN] 2017/5/31 “Microscopic control for chemical treatment in wood flow forming” by Dr. Soichi Tanaka (Mission researcher, RISH Kyoto University). And other 7 lectures in 2017. [RISH&LIPI] 2016/9/21 “Long-term field test performance of treated wood-based and wood-plastic composites (WBCs and WPCs)” by Dr. Cihat Tascioglu (Professor, Duzce University, Faculty of Forestry, Duzce, Turkey, currently Visiting Professor at RISH, Kyoto University). And other 3 lectures in 2016. |
Capacity Building
インドネシアを訪問して、大気科学に関する集中講義、各種の実習、演習等の提供を通じたCapacity Building活動を行っています。
・2017/4月 木質材料開発に関する研究指導およびオンラインミーティングのためのネットワークシステム構築(梅村)@LIPI ・2016/11月 レーダー観測・データ処理の基礎・データ解析演習・レーダー観測実習(橋口) @EAR観測所, Kototabang ・2016/11月 大気力学過程・大気計測法に関する集中講義(津田) @LAPAN, Bandung |
関連イベント(過去のイベント&今後の予定)
2023/10/29 開催地:インドネシア、マカッサルおよびオンライン 2023年10月29日、第8回ARN国際シンポジウム(同時開催The 2nd International Conference on Environment and Sustainable Development)をインドネシアマカッサルおよびオンラインで開催し、80名が参加しました。 セッション1(大気・エネルギー)とセッション2(マテリアル・環境)に分かれ、持続可能な生存圏の構築に貢献する関連科学分野の最新科学技術について議論しました。
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生存圏アジアリサーチノード刊行物
2022年度 アジアリサーチノード活動報告 | |
2021年度 アジアリサーチノード活動報告 | |
2020年度 生存圏アジアリサーチノード活動報告 | |
2019年度 生存圏アジアリサーチノード活動報告 | |
2018年度 生存圏アジアリサーチノード活動報告 | |
2018年度 生存圏アジアリサーチノードフライヤー | |
2017年度 生存圏アジアリサーチノード活動報告 |
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