首都大ライダー Photoncount Mode(High sensitive)
赤道大気レーダー(EAR)の概要
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京都大学生存圏研究所(旧 宙空電波科学研究センター)と
インドネシア航空宇宙庁(LAPAN)の協力によって、
2001年3月に、インドネシア共和国西スマトラ州の赤道上に完成した大型の
大気観測用ドップラーレーダーです。
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560本の3素子八木アンテナを直径約110mの略円形フィールドに配置した
アンテナアレイを有しています。
アンテナの基部にそれぞれ半導体送受信モジュールが配置された、アクティブ
フェーズドアレイ構成を取っており、
電子制御によってアンテナビーム方向を1秒間に最大5000回の速度で
高速に走査できます。
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周波数47MHzの強力な電波を上空に発射し、
大気乱流などからの超微弱な散乱エコーを受信します。
高度1.5kmから20kmまでの対流圏及び下部成層圏、
高度90km以上に分布する電離圏イレギュラリティなど、
広い高度範囲を観測することができます。
赤道大気レーダーの諸元
- 位置: 南緯0.20度, 東経100.32度, 海抜865m
- Google Earthによるアンテナ中心位置:
0 deg 12 min 13.55 sec ( 0.203764S),
100 deg 19 min 12.21 sec (100.320058E),
855 m MSL
- 中心周波数: 47.0 MHz
- 送信出力: 100 kW (尖頭値)
- アンテナ形式: 略円形アクティブ・フェーズド・アレイ
(直径約110m, 3素子八木アンテナ560本)
- アンテナビーム幅: 3.4度 (-3 dB, 片道)
- アンテナビーム方向: 任意 (天頂角30度以内)
- 観測高度: 1.5km-20km (大気乱流), 90km以上 (電離圏イレギュラリティ)
赤道大気レーダーを用いた研究
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高精度風速ベクトル測定によって、積乱雲の生成と消滅にかかわる
風速変動の微細構造を明らかにします。
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赤道大気の長期連続観測によって、大気波動と大気循環の関連を
明らかにします。
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地表付近から電離層にわたる観測によって、赤道大気の力学的
上下結合を明らかにします。
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以上の観測を総合することによって、オゾンやCO2など大気微量成分の
全球輸送の様子や、
エルニーニョ現象などの気候変動につながる地球大気の変動を
明らかにします。
赤道大気レーダー実現までの取組み
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滋賀県信楽町のMUレーダー(1984年完成)による大気力学の研究
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生存圏研究所とインドネシアの共同研究並びに対応機関
- PUSPIPTEKレーダー観測所の設置と観測: インドネシア技術評価応用庁(BPPT)
- 中波(MF)レーダーの設置と観測: LAPAN及びアデレイド大学(豪)
- ラジオゾンデ協同観測: LAPAN及びインドネシア気象庁(BMG)
- EAR設置場所の現地調査: LAPAN及びBPPT
赤道大気観測所の運営
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日本・インドネシアのみならず、国際的な協力に基づく運営を行います。
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日本・米国・オーストラリアなどが赤道域に展開している大気観測用レーダーと
ネットワークを構成します。
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ラジオゾンデ、ライダーなどの観測装置を集積し、総合的な赤道大気研究拠点と
することを目指します。
赤道大気レーダーの設置場所
Equatorial Atmosphere Observatory (赤道大気観測所)
Bukit Koto Tabang, Tromol Pos 16, Bukit Tinggi 26100, West Sumatra, INDONESIA
- ジャカルタ-パダン: 空路2.0h
- シンガポール-パダン: 空路1.5h
- パダン-ブキティンギ: 陸路2.0h
- ブキティンギ-EAR: 陸路1.0h
写真・動画
EAR及びその周辺の高解像度写真はこちら
ドローン撮影動画(2019.8.23)はこちら
参考
観測方法・オリジナルデータのフォーマット
EARパンフレット (2MB)
EARフライヤー (0.7MB)
EAR紹介ビデオ (130MB)
EAR紹介ビデオ(8分バージョン) (110MB)
研究紹介ポスター(pngファイル:559KB)
EAR20周年記念小冊子 (PDFファイル: 2MB)
査読付き学術論文誌に掲載された赤道大気レーダーおよび赤道大気観測所の関連論文
論文リストはこちらよりご覧になれます