研究課題
2022年1月のフンガ・トンガ=フンガ・ハアパイ火山噴火に伴う成層圏気候変動の研究
研究組織
代表者 | 藤原 正智 (北海道大学 大学院地球環境科学研究院) |
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共同研究者 | 酒井 哲 (気象庁気象研究所) 白石 浩一 (福岡大学 理学部) 秋吉 英治 (国立環境研究所) 高橋 けんし (京都大学 生存圏研究所) |
関連ミッション |
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研究概要
熱帯における大規模な火山噴火は成層圏の硫酸エアロゾル粒子を激増させ、熱帯成層圏を昇温し、オゾン層を破壊し、地表気温を低下させることが知られている。20世紀後半で最大規模の噴火は1991年のフィリピン・ピナトゥボ火山噴火であった。昨年2022年1月に起きたフンガ・トンガ=フンガ・ハアパイ海底火山(南太平洋、トンガ、20.5˚S)の大噴火では、成層圏のエアロゾル増大量はピナトゥボ噴火の6分の1程度であったものの、成層圏に多量の水蒸気を注入した(全球成層圏水蒸気量の5%以上)という点で観測史上前代未聞の事象となった。成層圏に注入された水蒸気は硫酸エアロゾル粒子とは逆の効果、すなわち成層圏を低温化し地表気温を上昇させる可能性がある。本研究では、噴火後の2年間について、地上・衛星観測データ、複数の全球大気再解析データ(JRA-3Q, JRA-55, ERA5, MERRA-2)を解析するとともに、化学気候モデルを用いた数値実験をおこなうことにより、成層圏の気候とオゾン層が受けた影響を明らかにする。本研究の特色は、観測データと数値モデルの両面から総合的にこの問題にアプローチすることにある。本研究結果は最終的に、国際誌上にて発表するとともに、2つの国際的な評価報告書(2025年出版予定のWCRP/SPARC Hunga-Tonga Stratospheric Impacts Activityによる報告書、および2026年版のWMO/UNEP Ozone Assessment Report)への日本からの貢献となる。
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2023年8月8日作成