ミッション 4:循環材料・環境共生システム
更新日: 2024/06/06
環境共生とバイオマテリアルの利活用を両立させるために、循環型生物資源のなかでも、とくに木質資源の持続的利用を進めます。そのために生存圏科学に由来するすべての技術を結集して生物本来の構造や機能を理解し、それらを最大限に引き出す多彩な機能性材料の創製、木質材料等を用いた安全・安心な建築技術を開発します。さらには、資源の供給源である生態系と、これを消費する人間活動との調和と発展の実現にむけて、樹木、植物、昆虫、微生物の管理・利用法を研究します。基礎・応用の両面から研究に取り組み、豊かな文化にもとづく環境未来型の生活圏のありかたを模索することで、森林環境の安定と保全をはかり、生活環境のさらなる向上を実現することを目的とします。木質資源を基盤に、自然との共存を継承・継続する技術、材料を開発するなど、「創造」を意識するミッションとして、いっそうの発展をめざします。
研究ハイライト(タイトルをクリックすると関連ページにジャンプします)
高CO2 吸蔵能をもつ木質炭素の開発
地球温暖化問題の解決のため、高CO2吸蔵能をもつ木質炭素を開発します。木材へ酸素分子の付与と賦活処理により、2030 m2/gの比表面積を達成しました。これはテニスコート8面分に相当し、木材の約2000倍の比表面積に相当します。木質炭素から作られるCO2吸蔵材は、カーボンニュートラルで、CO2の回収に大規模な装置を必要とせず、繰り返し利用できるため低コストでの合成・活用が可能です。
セルロースナノファイバー材料
セルロースナノファイバー強化樹脂材料の製造テストプラントを研究所内に完成させ、自動車関係の部素材企業を中心に20を越える機関にサンプル供給を行っています。セルロース・ナノファイバー(CNF)の高効率な製造法の考案および製品への応用や将来における可能性の拡大に対する貢献を果たしたとして、矢野浩之 教授が2016年本田賞を受賞しました。
低環境負荷型木質新素材の創成および再生
木質新素材の生産、加工、利用、廃棄、再生利用にいたる一連の循環システムを構築します。
木質材料・木質構造の評価・開発
木質系構造材料の強度性能の評価や接合方法の開発、木質構造物の耐震性能の評価とその構造性能を解析します。
生物由来ナノ材料の創成
生物がもつ特性や構造を正しく理解し、地球に寄り添う新しいナノ材料を創造します。
未来型資源循環システムの構築
自然生態系、都市あるいは住宅における木質共生系をモデルに、未来型の資源循環システムを探求します。
木材の科学分析で進める人文社会学
木材に刻み込まれた情報をさまざまな科学的手法によってひもとき、循環型社会における木材利用のありかたを考察します。