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2009(平成21) 年度 生存圏科学 ミッション研究 1

更新日: 2018/07/18

研究課題

酢酸菌セルロース合成酵素複合体の分子解剖

研究組織

 代表者 今井友也 (京都大学生存圏研究所)
 共同研究者 聡 (東京大学大学院農学生命科学研究科)
菅野亜美 (京都大学生存圏研究所)
関連ミッション
  • ミッション 1 (環境計測・地球再生)
  • ミッション 4 (循環型資源・材料開発)

研究概要

セルロースは地球上に最も豊富に存在する天然高分子とも言われ、分類学上で非常に多岐にわたる生物が合成している。別の言い方をすれば、進化の過程である生物がセルロースを持った場合、それがその生存にプラスに働いたために、セルロースは現在の地上圏に遍く存在すると説明できる。

生物が獲得したセルロース合成能の実体は、セルロース合成酵素複合体と呼ばれる巨大な膜タンパク質複合体であると考えられている。しかしその分子実体については限られた情報しかなく、合成酵素複合体の全体像は全く分かっていない。そこで膜タンパク質の分子生物学と解剖学との融合研究である、SDS-FRL (Freeze Replica Labeling) 法を用いて、合成酵素複合体に含まれる分子の同定を行う。

生存圏に存在するセルロースのほとんどは植物由来であり、本来ならば植物を試料にするべきであるが、植物のセルロース合成酵素複合体に関する情報は、合成酵素そのものである CesA タンパク質以外に確かな情報がほとんど存在しない。そこで、より単純な実験系であり、植物と同様、あるいはそれ以上に高強度なセルロースナノファイバーを作る酢酸菌を用いて実験を行う。具体的には、酢酸菌の合成酵素複合体の構成サブユニットであると予測されている BcsA、BcsC、BcsD タンパク質の局在を明らかにする。本研究はセルロース合成酵素複合体を分子生物学的に解析する基盤を与えるものであり、すなわち地上圏に普遍的に存在する天然高分子の合成機構を詳細に明らかにする基礎となる。

今井友也 2009-01a図 1 酢酸菌の SDS-FRL 像
外膜のPF面にセルロース合成酵素複合体が、一列の凹みとして観察される。BcsB タンパク質を金コロイドでラベルした。

今井友也 2009-01b図 2 酢酸菌のセルロース合成酵素複合体のモデル図
BcsB以外について、実験的証明はない。

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2009年9月15日作成

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