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2005(平成17) 年度 生存圏科学 萌芽研究 3

更新日: 2017/09/22

研究課題

2005(平成17)年度萌芽ミッションプロジェクト 3
分光反射指標を用いたヒノキ人工林における炭素固定機能の評価

研究組織

 代表者 谷誠 (京都大学農学研究科)
 共同研究者 小杉緑子 (農学研究科)
中西理絵 (農学研究科)
中村卓司 (生存圏研究所)

研究概要

森林の温暖化抑制機能を地球規模で評価するためには、森林における CO2 交換量を衛星データによって推定することが不可欠である。そのためには的確な分光反射指標を見いだし、活用してゆく必要がある。葉面積指数など植生物理量の推定に用いられる NDVI に加え、最近では光合成活性にかかわる分光反射指標として、光合成過程を構成する光化学系 II に基づく PRI が注目されてきた。本研究は、ヒノキ林における PRI の変動特性を、群落 CO2 フラックス観測、個葉における光化学系 II の活性測定に基づいて検討し、PRI を用いた光合成速度評価の可能性を探ることを目的とした。1 年 5 ヶ月にわたる測定の結果、落葉広葉樹で行われた先行研究と同様、常緑針葉樹のヒノキ林においても、PRI の季節変化や日変化は光化学系 II の活性の変動に対応することが明らかになった。また、光利用効率は、晴れの場合にPRIと相関が強く、曇りの場合には相関が低い傾向があった。晴れ、すなわち強光時に相関が高い理由としては、光合成速度が光化学系 II の活性に依存する点が挙げられるが、曇り、すなわち弱光時には、光利用効率が光強度で決まる一方、光強度に対するPRIの変化が季節毎に異なるため、両者の相関が低下したものと推定される。以上のように、ヒノキ林におけるPRIの季節変化・日変化の特性が明らかにされるとともに、 PRI を活用して光利用効率を評価するにあたり、晴れの場合については PRI による評価可能性が高いことが示された。また、曇りを含む一般の場合に対して、分光反射指標を活用した光合成速度評価を可能にするためには、PRI と光利用効率の関係において、季節性と光強度の影響を検討して行く必要があることが指摘できた。

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