研究課題
窒素固定能に優れたアクチノリザル樹木の抽出成分ミリカノールの生合成と共生菌フランキアとの化学生物学的検討
研究組織
代表者 | 河合真吾 (静岡大学農学部) |
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共同研究者 | 梅澤俊明 (京都大学生存圏研究所) 服部武文 (京都大学生存圏研究所) 鈴木史朗 (京都大学生存圏研究所) 市澤博生 (静岡大学農学部) |
関連ミッション |
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研究概要
ヤマモモ科・カバノキ科・グミ科などの樹木はアクチノリザル植物と呼ばれ、土壌放線菌であるフランキアと共生する。フランキアは窒素固定反応によって空気中の窒素を固定し宿主である樹木の生長に必要な窒素源を供給するため、マメ科樹木と並んで「肥料木」と呼ばれ、地球上の窒素循環ならびに森林生態に大きく影響している。しかしながら、これら非マメ科根粒樹木とフランキアとの共生メカニズムについての研究はほとんどない。
一方、植物化学分類学的見地から、これらアクチノリザル樹木と抽出成分を関連づけると、本樹木群は、C6-C7-C6 骨格を有するジアリールヘプタノイド類を特異的に産生していることがわかった。このことは、これらジアリールヘプタノイドが、フランキアとの共生関係における情報伝達に関わる可能性が期待される。
本研究では、代表的なアクチノリザル樹木であるヤマモモ (Myrica rubra) に注目し、ヤマモモ環状ジアリールヘプタノイドであるミリカノールの生合成機構を明らかにするとともに、これら化合物がフランキアとのケミカルコミュニケーションに関連するかどうかを明らかにしたいと考えている。アクチノリザル樹木とフランキアの共生による空気中の窒素固定・循環という生態系サービスの機構を解明することは、健全な植林とバイオマスの増産につながる。また、二酸化炭素削減により地球温暖化を防止し地球を再生するためには、樹木の光合成および生長に極めて大きい影響を与える窒素源の獲得が必須であり、極めて重要な基盤となる研究であると考える。
a: ヤマモモ樹木と果実、b: ミリカノール、c: 根粒裂片、d: 裂片断面
(c, d: 森林総合研究所 山中高史博士提供)
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2010年7月30日作成