概要
生存圏フォーラムは、『持続的発展が可能な生存圏(Sustainable Humano-sphere)を構築していくための基盤となる 「生存圏科学」を幅広く振興し、総合的な情報交換・研究者交流、 さらに学生・若手研究者の国内外での教育・啓発活動を促進していくこと』を目的としている。その活動の一環として年に一度特別講演会を開催している。今年は、目下の世界的大問題であるCOVID-19に関する我々の考え方を今一度見直すことを目的として、「ポストコロナ時代の生存圏科学」という講演会を2020(令和2)年11月に企画した。また2021(令和3)年3月には年に一度の総会を開催した。
目的と具体的な内容
特別講演会
現在世界中で流行しているCOVID-19によるウイルス感染症は、問題が深刻化してからまもなく一年を迎えようとしている。「ウィズコロナ」「自粛警察」「ニューノーマル」など2020年の流行語大賞に多くの関連する候補が挙がっていることからも、COVID-19が我々の生活を大きく変化させたことは明らかである。今後ワクチンや治療薬の開発によりCOVID-19は沈静化することが見込まれるが、今後人類が同様の脅威にさらされることは避けられないと考えられる。
そこで今回のCOVID-19の流行を今一度多角的に見直すことが今後の持続可能社会の実現のために重要であるという観点から、4名の講師をお迎えして講演会を企画した。ウイルス学、抗ウイルス性物質の研究や、今回のCOVID-19対策で奮闘した医療・保健行政の現場の実態に関する講演により、ウイルス・感染症とどう付き合うかという直接的な話題提供をいただくとともに、COVID-19が影響を与えた人間の社会活動により地球環境がどのような変化を受けたのか、大きなスケールでの環境実験として今回の社会的揺動を捉えた講演をいただいた。
また「ニューノーマル」な講演会を意図して、来場者の感染対策に留意しつつ、Zoomを使ってリモートでも視聴および質疑可能な形で講演会会場での講演会を行った。おおむね問題なく完了することができた。
総会
2021年3月3日には第13回生存圏フォーラム総会を開催し、研究所の活動紹介と、役員および運営委員の改選を行った。
生存圏科学の発展や関連コミュニティの形成への貢献
特別講演会
所内教員のネットワークを生かして、COVID-19に関連して様々な切り口での講演をいただくことができた。生存圏研究所の構成員はもちろんだが、京都大学の他部局や学外、企業やマスコミからも参加者を頂いており、「生存圏科学」の振興にとコミュニティ拡大に少なからず貢献できたと考えている。
総会
研究所の1年間の活動紹介により、生存圏科学の進展を会員にシェアした。また会長の柴田大輔先生より生存圏科学への期待を述べて頂き、今後一層の生存圏科学の発展と関連コミュニティの形成が期待される。
プログラム
特別講演会(2020年11月7日)
14:30–14:35 | 開会の辞 柴田大輔(生存圏フォーラム会長) |
14:35–14:50 | 「生存圏科学への招待」 塩谷雅人(京都大学 生存圏研究所・所長) |
14:50–15:20 | 「自然免疫活性化によるウイルス感染症予防」 藤田尚志(京都大学 ウイルス・再生医科学研究所・客員教授) |
15:25–15:55 | 「バイオマスからの抗ウイルス物質の生産」 渡辺隆司(京都大学 生存圏研究所・教授) |
16:00–16:40 | 「大阪の新型コロナウイルス検査の現場から」 山元誠司(大阪健康安全基盤研究所・主任研究員) |
16:45–17:25 | 「大気中の温室効果ガス観測から推定する放出源変動」 町田敏暢(国立環境研究所 地球環境研究センター・室長) |
17:25 | 閉会の辞 |
総会(2021年3月3日)
13:00–13:30 | 生存圏フォーラム総会 事業報告、役員・運営委員改選、事業計画 |
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2020年7月27日作成,2021年3月9日更新