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第305回定例オープンセミナー
東南アジア熱帯泥炭林の農園化が大気環境に及ぼす影響

更新日: 2023/11/08

開催日時 2023/11/29(水曜日)
発表者 伊藤 雅之(京都大学生存圏研究所・准教授)
関連ミッション ミッション1 環境診断・循環機能制御
ミッション5 高品位生存圏

聴講希望の方は、下記Zoom参加登録用アドレスからご登録ください。
https://us02web.zoom.us/meeting/register/tZ0udeqvrDgqGtGmFuvxTZJZ5tOlYs4qpHaU

要旨

「アブラヤシ」「パーム油」と聞いてその姿を想像できる方は日本では少ないかもしれませんが,「チョコレート・マーガリン」や植物由来の洗剤などの多くに,アブラヤシという植物の実などを原料とした「パーム油」が使われています。パーム油は他の主な植物性油(大豆,菜種など)と比べ,世界の生産量・消費量ともに最も多く,日本においても,年間消費量は約60万トンにもなります。東南アジアへは19世紀半ばごろにアフリカ原産のアブラヤシが導入され,1970年代からはマレーシアやインドネシアのプランテーションでの生産が拡大しました。現在,両国のアブラヤシ果実の生産量は世界の8 割以上を占めるまでになっています。急速な農園の拡大が大量のアブラヤシ生産を可能にする一因となっていますが、その裏には,熱帯林の伐採・開発がかなりの割合で関係すると考えられています。

ご存知のように熱帯林は,生物多様性のゆりかごと呼ばれ,植物など炭素や水の貯蔵庫として,地域や地球環境にとって重要な生態系です。とくに,マレーシア・インドネシア両国に属するボルネオ島は,その森林の二酸化炭素吸収量の大きさから「地球の肺」とも呼ばれています。近年の「熱帯林からプランテーションへの転換」は,地域や地球環境にどのような影響を及ぼすのでしょうか?特に東南アジアには,一般的に認識されるような熱帯林だけでなく,「熱帯泥炭湿地林」も多く存在します。ここでは長年にわたって植物の光合成により固定された炭素が,湿地林という形で地上部や地下部に蓄積されてきた特殊な生態系があり,地球の炭素循環の最重要パーツの一つです。近年は大規模な排水を伴って,この湿地林からのアブラヤシ農園化も進んでいます。

私たちはこのダイナミックな変化の過程に付随する森林伐採・排水・火災・農園化などのイベントが,二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガス排出といった地域や地球規模の環境にどのような影響を与えるか,ということについて調査・研究を進めています。

 普段何気なく口にしているパームオイルが,どのようなところで,どのようにして生産され,現地ではどのようなことが起こっているのか,について簡単にご紹介したいと思います。

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2023年10月16日作成/11月8日更新

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