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第304回定例オープンセミナー
「COTS(商用オフザシェルフ)ベースでの月惑星通信技術 ~低コスト宇宙開発を目指して」

更新日: 2023/11/08

開催日時 2023/11/15(水曜日)
発表者 村田 健史(情報通信研究機構・研究統括/RISH・客員教授)
関連ミッション ミッション3 宇宙生存環境

聴講希望の方は、下記Zoom参加登録用アドレスからご登録ください。
https://us02web.zoom.us/meeting/register/tZIpcu2gqTsrG9Ab-1YgtnGUkDqMQlslZ73K

要旨

これまでの月探査や惑星探査を含む宇宙探査プロジェクトの課題の一つは、プロジェクト遂行にあたり膨大なコスト(経費)が必要となることです。一般的には一つの科学衛星プロジェクトのコストは数100億円であり、これは日本の一つの国立大学の年間の運営費交付金に匹敵する予算規模です。そのため、最近の惑星探査衛星計画はわが国単独ではなく、欧米との共同プロジェクトとなることがほとんどです。また、気象衛星ひまわりなども現在は地球環境衛星の位置づけとなっており、衛星データが気象だけではなく防災対策や環境問題など幅広い目的で利用されます。

近年、衛星プロジェクトの新しい潮流として、小型衛星に代表される低コスト型の衛星プロジェクトがあります。低コストでの打ち上げが可能ですので、発展途上国等においても独自の衛星を打ち上げて観測を行う事例は枚挙にいとまがありません。2021~30年の10年間で打ち上げが予定されている小型衛星の数は約2万2000基であり、この数は11~20年の10年間の打ち上げ数の約8倍に達します。

 衛星プロジェクトの低コスト化の方法の一つが、COTS(商用オフザシェルフ)品の活用です。COTSとは、もともと独自開発や特注品が多く慢性的なコスト高に悩んでいた航空宇宙産業などで用いられている用語で、十分や品質や機能を持つ市販の民生品を活用し、開発スピードの向上やコストの削減に繋げることを意味します。本講演のテーマである衛星通信分野においても、COTS品を用いた通信システムの導入が低コスト化の必須技術となることが予想されます。例えば、衛星通信に地上通信で広く利用されているTCP/IPプロトコルを導入することで商用の(我々の生活でなじみがある)通信システムを流用することが可能となります。月面ローバーを自宅のPCやスマホから操作することは、技術的にはすでにそれほど難しくはありません。

本講演では、IP通信やLPWA(低電力広帯域)通信と言った、汎用的な通信プロトコルを宇宙通信に導入する可能性について議論します。

 

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2023年11月8日作成

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