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第191回生存圏シンポジウム
東日本大震災以後の福島県の状況及び支援の取り組みについて

更新日: 2015/06/11

開催日時 2012/01/06(金曜日) 13:30–17:10
開催場所 京都大学宇治キャンパス きはだホール
主催者 京都大学生存圏研究所
申請代表者 上田義勝 (京都大学生存圏研究所宇宙圏航行システム工学分野)
関連ミッション ミッション 1 (環境計測・地球再生)
関連分野 生存圏科学、植物科学、放射線計測学。

共催: 国立大学法人京都大学・一般社団国立大学協会
発起人 上田義勝 (代表)、杉山暁史 (生存圏研究所)、伊藤嘉昭、徳田陽明 (化学研究所)

目的と具体的な内容

東日本大震災以後の原発事故により、福島県下では広範囲に放射性核種が降り注ぎ、その結果として生活圏及び農業圏に大きな影響が出ており、現状でもまだ解決の糸口が見えない。本研究集会においては、生存圏における緊急的な課題である放射性物質の問題に対し、福島県における現状と、今年度緊急に行った研究成果についての講演を行った。福島県環境保全農業課課長が福島県の農林水産業全般における放射性物質の問題と現状の取り組みを概略的に紹介した。さらに、福島県農業総合センターの研究員かが福島県で行われている水稲、畑作物、野菜、花きに関する研究を発表した。京都大学原子炉実験所においても震災後からの緊急支援活動についての紹介や放射線自動計測システムの紹介も講演があった。

また生存圏科学の研究者も様々支援研究を行っているため、その事例を紹介した。具体的には、ナノバブル水を用いた道路・建築物汚染の除染とその効果について、スクリーニング支援等の取り組みと、福島県内の自動車走行による自動放射線測定について、さらに、蛍光 X 線を用いた放射性物質(特にセシウムとストロンチウム)の分析法について発表した。

以上の研究発表を通じて、未曽有の大問題を生存圏科学のコミュニティーで共有し、今後の研究支援・共同研究等により長期的に生存圏科学が復旧・復興に貢献できるよう議論を深めた。

生存圏科学の発展や関連コミュニティの形成への貢献

原発事故による放射性物質の拡散により福島県では農林水産業に大きなダメージが与えられた。福島県の情報は新聞等からの限定的な報道によることが多く、現状や取り組みについて幅広く情報を得ることは困難である。本研究集会を通じて、福島県の担当者が直接、現状、研究状況を広く公開することにより、生存圏科学のコミュニティーに現地の正しい情報を伝えることができた。特に、生存圏科学が目指す安全・安心な社会の構築に向けて、一般市民の放射性物質に対する不安を取り除くことは極めて重要であるが、本研究集会では学外の一般参加者も多く、現状を正しく伝えるという役割を果たすことができたと考えられる。多くの新聞にも取り上げられ、生存圏科学の発展にも貢献したと考えられる(特記事項参照)。

福島県の研究者と京都大学、及び生存圏科学のコミュニティーに属する研究者が直接議論を交わすことにより、今後の共同研究への方向性を確認することができ、生存圏科学が果たす役割をより明確にすることができた。また、本研究集会では、活発な質疑討論があり、生存圏科学のコミュニティーが震災の復旧・復興や原発事故後の安心・安全な社会の構築に向けて果たす役割について、より明確になった。

特記事項

本研究集会に関連する記事が、京都新聞(2011年12月28日付)、朝日新聞(2012年1月6日付)、毎日新聞(2012年1月7日付)、京都新聞(2012年1月7日付)、城南新報(2012年1月7日付)に掲載された。学外参加者には新聞記者、農林水産省職員、京都府職員が含まれる。

プログラム

 司会: 徳田陽明 (京都大学化学研究所)
13:30–13:40 開会挨拶
津田敏隆 (京都大学生存圏研究所 所長)
13:40–13:50 挨拶
吉川潔 (京都人学 理事・副学長)
13:50–14:30 農作物に関するモニタリングの現状と概要
荒川市郎 (福島県環境保全農業課)
二瓶直登 (福島県環境保全農業課)
14:30–15:10 農作物の試験研究の状況
小野勇治 (福島県農業総合センター)
藤村恵人 (福島県農業総合センター)
 
15:10–15:25 休憩
 
15:25–15:55 福島原子力災害における京都大学原子炉実験所の支援活動
佐藤信浩 (京都大学原子炉実験所)
15:55–16:25 GPS連動型放射線自動計測システムKURAMAの開発と運用
谷垣実 (京都大学原子炉実験所)
16:25–16:40 植物におけるセシウム、ストロンチウムの移行メカニズムと蛍光X線の利用
杉山暁史 (京都大学生存圏研究所)
伊藤嘉昭 (京都大学化学研究所)
16:40–17:00 農業総合センターとの連携研究 (土壌・森林の除染について)
上田義勝 (京都大学生存圏研究所)
徳田陽明 (京都大学化学研究所)
17:00–17:10 閉会挨拶
 
17:30–19:30 情報交換会 (きはだホールハイブリッドスぺ-ス)

 

Symposium-0191   ポスター PDF ファイル (220 532 バイト)
ポスター制作: 杉山暁史 (京都大学生存圏研究所)

 

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