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第232回生存圏シンポジウム
地球環境科学における長期データの利用と分野横断研究
—データの発掘とe-infrastructure—

更新日: 2015/09/08

開催日時 2013/08/19(月) 13:00~ - 2013/08/20(火) ~16:40
開催場所 国立極地研究所 大会議室
主催者 田中良昌 (国立極地研究所)
申請代表者 田中良昌 (国立極地研究所)
所内担当者 津田敏隆 (京都大学生存圏研究所大気圏精測診断分野)
関連ミッション ミッション 1 (環境計測・地球再生)
関連分野 地球惑星科学,地球電磁気学,気象学。

http://www.iugonet.org/meetings/2013-08-19_21.html

目的と具体的な内容

人類が生存可能な環境を維持するためには、全球的且つ長期的な視点での地球環境の正しい理解が必要である。例えば、地球温暖化に代表される地球環境変化の予測の前提として,過去から現在の長期にわたるデータの精査と利用基盤が極めて重要である。近年衛星観測が進むにつれて地球大気変動の外力(即ち、太陽活動)や大気シグナルの解析が精力的に行われるようになったが,長期にわたる地上観測データの利用の必要性はむしろ増している。ただし,過去のデータの利用には,時空間的に不均一かつ精度や性質の異なるデータの統合解析が必要となる。たとえば,樹木の年輪や氷床コアなどの気候の代替データや,気象観測装置やレーダーによって得られたデジタルデータ,紙やビデオテープに記録された様々なアナログデータを統一的に利用し,相互比較することが重要な課題となっている。このような分野横断的研究を推進するために、多様なデータに関する検索システムの構築や、効率的な総合解析を行うためのソフトウェア等のインフラ(e-infrastructure)整備が強く求められている。

本研究集会では、地球環境科学における,観測データデータベース,長期解析データ基盤や利用技術,研究を推進する上で欠かせないインフラ開発について幅広く議論する。

生存圏科学の発展や関連コミュニティの形成への貢献

本研究集会により、地球環境科学の長期変動に関心をもつ様々な分野の研究者が集まり、お互いの情報を共有することができた。例えば、衛星データの再利用方法や、100 年以上前の気象データや考古地磁気データ等の長期データ、アナログデータのデジタル化技術やデータレスキュー等、様々な話題の発表が行われた。また、観測データや解析ツールについて最新情報、インフラ開発者やデータベース作成者へのクレジットの付け方,研究データに DOI を付与する活動の現状、国立国会図書館のアーカイブに関する情報等も得ることができた。これにより、お互いの研究・開発が一層促進されることが期待できると共に、生存圏環境の長期的な監視や将来予測について新たな視点を持つことができた。さらに、メタ情報データベースや解析ソフトウェア等のインフラ開発は、生存圏データベースをはじめとする共同利用・共同研究拠点の大型データベースの利用促進に繋がり、幅広い分野の研究者との共同研究に発展することが期待される。このような研究集会を今後も継続的に開催し、地球環境に関する分野横断的な研究コミュニティの形成・維持に貢献したいと考えている。

なお、研究集会の様子は、Ustream 等を利用してリアルタイムで配信した。研究集会の講演資料は、PDF ファイルに変換し Web ページで公開を予定している。このように講演・議論の内容を記録として残すとともに可能な限り広く公開することで、コミュニティの育成にも貢献している

プログラム

1日目: 8月19日 (月)

13:00–13:05 開会あいさつ
中村卓司
13:05–13:10 趣旨説明
谷田貝亜紀代
 
   セッション 1. IUGONET活動報告
座長: 谷田貝 (京大RISH)
13:10–13:25 IUGONETプロジェクトの進捗と今後の予定
谷田貝亜紀代 (京大)
13:25–13:40 IUGONETメタデータの作成・アーカイブの現状
堀智昭 (名大)
13:40–14:00 IUGONETシステム報告
阿部修司 (九大)
14:00–14:20 IUGONET解析ソフトウェア報告
田中良昌 (極地研)
14:20–14:35 IUGONETアウトリーチ報告
佐藤由佳 (極地研)
 
14:35–14:50 休憩
 
   セッション 2.  Data Citation / Data Publication
座長: 小山 (京大理)
14:50–15:20 国立国会図書館サーチ、国立国会図書館東日本大震災アーカイブ
塩崎亮、北島顕正、池田勝彦、松本保 (国立国会図書館)
15:20–15:40 古データ保存の重要性
荒木徹 (京大・名誉教授)
15:40–16:00 データベースへのDOI付与について:日本のWDCの取組
能勢正仁、小山幸伸、家森俊彦 (京大理)、石井守 (NICT)、門倉昭 (極地研)、村山泰啓 (NICT)
 
16:00–16:15 休憩
 
16:15–16:35 科学衛星によるVLF波動観測データの利活用
笠原禎也、後藤由貴 (金沢大)
16:35–16:55 東南アジアVLF帯電磁波観測ネットワークAVONのデータ公開に向けて
大矢浩代 (千葉大)、八木学、土屋史紀 (東北大)、山下幸三 (サレジオ高専)、高橋幸弘 (北大)
 
16:55–17:00 総合討論

 

2日目: 8月20日 (火)

   セッション 3.  データベース・データシステム
座長: 阿部 (九大ICSWSE)
09:30–09:50 極地研におけるオーロラデータアーカイブの現状と問題点
門倉昭 (極地研)
09:50–10:10 宇宙線WDC(名大STE研)の活動と宇宙線中性子データの利用状況
渡邉堯 (NICT)、平原聖文、阿部文雄、門脇優香 (名大STEL)
10:10–10:30 地磁気アナログ記録のデジタル化
増子徳道 (気象庁地磁気観測所)
10:30–10:50 日本の考古地磁気データベースと過去2000年の地磁気永年変化
畠山唯達、鳥居雅之 (岡山理科大)、渋谷秀敏 (熊本大)、広岡公夫 (大阪大谷大)
10:50–11:10 東南・東アジアにおける19世紀から20世紀前半の気象観測記録のデータレスキュー
財城真寿美 (成蹊大)、赤坂郁美 (専修大)、久保田尚之 (海洋研究開発機構)、松本淳 (首都大学東京)
11:10–11:30 東京気象台1875(明治8)年観測開始期のメタ情報
山本哲 (気象研)
11:30–11:50 電離圏宇宙天気WDCのデータアーカイブにおける現状と課題
石井守、津川卓也、加藤久雄、田光江、久保勇樹、国武学、長妻努 (NICT)
 
11:50–13:15 昼休憩
 
   座長: 家森 (京大理)
13:15–13:35 京都大学大学院理学研究科附属天文台の古データ・アナログデータのデジタル化
金田直樹、上野悟、北井礼三郎、門田三和子、柴田一成 (京都大理天文台)
13:35–13:55 京都大学における太陽全面シノプティック観測データのデジタル化
北井礼三郎、上野悟、金田直樹、羽田裕子 (京大理天文台)津田敏隆、新堀淳樹 (京大RISH)、浅井歩、渡邉皓子 (京大宇宙ユニット)、磯部洋明 (京大学際融合センタ-)
13:55–14:10 データベース・データシステムについての総合討論
 
14:10–14:20 休憩
 
   セッション 4.  IUGONETに関係するサイエンス
座長: 堀 (名大STEL)
14:20–14:40 IUGONETデータ解析システム(MDDB/UDAS)が切り開くサイエンス
新堀淳樹 (京都RISH)、八木学 (東北大PPARC)、田中良昌、佐藤由佳 (極地研)、堀智昭 (名大STEL)、上野悟 (京大理天文台)、小山幸伸 (京大理)、谷田貝亜紀代 (京大RISH) 、阿部修司 (九大ICSWSE)、IUGONETプロジェクトチーム
14:40–15:00 極域から磁気赤道域を接続する全球電磁結合系の研究:ネットワーク観測とモデリングの融合
吉川顕正 (九大ICSWSE)
15:00–15:20 Hα線全面像を使用した太陽紫外線放射量の長期変動の見積もり
渡邉皓子、浅井歩 (京大宇宙ユニット)、上野悟、北井礼三郎 (京大学理天文台)、新堀淳樹 (京大RISH)、森田諭 (国立天文台)
15:20–15:40 地磁気日変動の振幅から推察される超高層大気の長期変動について
新堀淳樹 (京大RISH)、小山幸伸 (京大理)、能勢正仁 (京大理)、堀智昭、大塚雄一 (名大STEL)、谷田貝亜紀代 (京大RISH)
15:40–16:00 超高層大気観測・全球気象データを用いた大気現象の解析~成層圏・中間圏中の大気波動・成層圏突然昇温の振る舞い
村山泰啓、木下武也、川村誠治 (NICT)、坂野井和代 (駒澤大)
16:00–16:20 昭和基地-アイスランド共役点における地磁気活動の長期変動
門倉昭、佐藤夏雄 (極地研)、T. Saemundssson, and G. Bjornsson (アイスランド大)
 
16:20–16:35 全体を通しての総合討論
16:35–16:40 閉会あいさつ
家森俊彦 (京大理)

 

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