研究内容
津田研究室では、電子工学・ 通信情報の最新技術を、地球大気科学に応用することに取り組んでいます。工学と理学との境界に位置する学際的な研究を特徴とし、グローバルな地球科学を解明するために国際共同研究にも力を入れています。
- 情報を収集する部分である計測技術を開発する。特に、電波・光・音波に関する最新の電子技術を用いることにより、地球大気の精密観測を目指す。
- 計測データの綿密な解析・情報処理、またモデリング(シミュレーション)により種々の大気物理過程を明らかにする。また、そのためのソフトウェアを開発する。
- 海外における拠点観測・衛星観測・国際観測ネットワークなどにより、全地球的=グローバルな情報収集を図り、地球大気変動の実態を解明する。
研究テーマ
当研究室では、「光・電波による地上からのリモートセンシング」「GPS気象学」「総合観測」「データ処理法の開発、数値モデリング」の各テーマにて、研究をおこなっています。
光・電波による地上からのリモートセンシング
- RASS(電波音波併用レーダー)による観測
- RASS(Radio Acoustic Sounding System)は、電波と音波を組み合わせ、上空の大気温度を求める観測技術です。津田研究室では、RASSによる観測技術を開発して実際の大気観測レーダーシステムに応用し、さらに、それを用いて気象擾乱の観測を行っています。
- レーダーによる水蒸気観測
- 大気レーダーは乱流による電波散乱を受信します。同じ乱流でも背景の屈折率プロファイルによって受信強度が変わることを応用し、大気中の水蒸気(屈折率を左右する)を測定することが可能です。この手法は当研究室で開発され、現在も改良中です。
- 光を用いた観測
- レーザー光を上空に照射して大気を観測するライダー、高感度のCCDで超高層大気の微弱な発光を捕らえて大気の水平構造を調べる大気光イメージャなど、最新の光デバイスを用いた大気の観測研究を行っています。
GPS気象学
- GPSによる大気観測:基礎と地上での観測
- GPS(Global Positioning System)は、高度2万kmに24台配置された衛星からの電波を受信して、位置を正確に測定するためのシステムです。当研究室では、位置測定の誤差要因である大気による電波の屈折・遅延を利用して、大気を測定するための技術開発とその応用を行っています。
- GPSによる大気観測:掩蔽観測
- GPS衛星が地平線に沈む(または昇る)際の電波を連続的に受信することで、気温や水蒸気の鉛直分布を求めることができます。当研究室では、そのための受信機や信号処理システムの開発から気象学的応用まで幅広く取り組んでいます。
総合観測
- 中層大気の観測
- 高度50km以上の中間圏・熱圏とよばれる上層の大気を、さまざまなレーダーや各種の光観測、衛星観測、またそれらを組み合わせて協同観測することで研究しています。そのための観測技術や解析法の開発も、津田研の得意分野です。
- 赤道大気の観測
- 地球大気循環の駆動源として重要だが、観測が不測して研究が遅れていた赤道大気について、とくに対流圏から成層圏・中間圏・超高層大気までの大気波動と上下結合を中心にインドネシアでの現地観測と解析、数値モデルによる研究を行っています。
データ処理法の開発、数値モデリング
- 年輪気候学のための画像処理法の開発
- 気候変動は、木の成長への影響を通して年輪に刻まれます。当研究所の農・工・理学の知識を融合させて、年輪から気候変動シグナルを読み取るための画像処理法を開発しています。
- 多次元データ解析・可視化ソフト開発
- 大気の観測や数値モデリングは時間・空間に多次元性をもつデータを生み出します。それを解析して優れた成果を生み出すためには、優れた道具が必要です。当研究室では、オブジェクト指向技術を用いて、データ解析・可視化のためのソフトを開発しています。
- 大気の数値シミュレーション
- 大気の時間発展を計算機でシミュレートします。様々な疑問に答えるための「実験」の役割を果たし、大気現象のメカニズムを明らかにするのに欠かせません。
関連学会
- 国内
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- 海外
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研究論文
津田研究室が1995年以降に発表した研究論文のリストです。
研究に用いられる装置
ここで紹介している研究には、それぞれ以下の表のような装置が用いられています。