津田研究室(京都大学生存圏研究所 大気圏精測診断分野)

津田研究室が取り組んでいる研究についてご説明します。

研究内容 / GPSによる大気観測:基礎と地上での観測

GPS(Global Positioning System)は、高度2万kmに24台配置された衛星からの電波を受信して、位置を正確に測定するためのシステムです。当研究室では、位置測定の誤差要因である大気による電波の屈折・遅延を利用して、大気を測定するための技術開発とその応用を行っています。

GPSによる測位の原理

 複数のGPS衛星からの電波を受信し、電波が受信機へ到達するまでの時間より衛星からの距離を求め、三角測量の原理で位置を求めます。

 その際、通常は電波に乗せた符号の相関から伝播時間を特定しますが、大気計測などに用いる精密な測定では、搬送波の位相を用いて精度を格段に向上させます。搬送波の波長は20cm程度であり、1cm以下の精度での測定が可能です。

GPSによる大気の測定原理

 GPSからの電波は、電離層プラズマ、窒素・酸素等の大気成分、水蒸気による屈折・遅延をうけます。このうち、電離層の効果は電波の周波数に依存するため、2周波を用いているGPSではそれだけを独立に抽出できます。GPSの気象学的な応用では、残る2者の効果を抽出します。他のデータ(例えば地表観測の場合圧力計のデータ)と組み合わせることで、水蒸気量だけを測定することも出来ます。

地上基地型観測:GPSトモグラフィー

 地上に設置したGPS受信機により水蒸気を測定します。当研究室では、つくば市において多数のGPS受信機を配備した実験を行い、地震学などで用いられるトモグラフィー解析により、水蒸気分布の立体構造を解析することに成功しました。

↑(左)GPSトモグラフィーの概念図、(右)精密GPS受信機のアンテナ

現在進行中の研究・開発テーマ

山頂、航空機、低軌道衛星による掩蔽観測

GPS衛星が地平線に沈む(から昇る)際の電波より、気温や水蒸気の鉛直分布を求めることができます。当研究室では、そのための受信機や信号処理システムの開発から気象学的応用まで幅広く取り組んでいます。

精密測位衛星による地球環境監視技術の開発

精密測位衛星による地球環境監視技術の開発

科学技術振興事業団の同名の大型プロジェクト(代表:津田敏隆)において、大気だけでなく固体地球や海洋までも含めてGPSで変動をモニターするための開発を行っています。

天気予報向上のための研究
気象庁・気象研究所と共同で、GPS受信データを天気予報に取り込み、予報を向上させるための研究に取り組んでいます(上記のプロジェクトの一環)。

当研究室での関連学位論文

関連する研究・プロジェクト

研究
プロジェクト

当研究に用いられる装置

 当研究は、以下の装置を用いておこなわれています。

- TSUDA Laboratory - Research Institute for Sustainable Humanosphere [Contact]