観測装置
津田研では電波、光、音波などを利用した大気のリモートセンシングを行い、これらとMUレーダーによる観測結果などを組み合わせることで、未知の大気現象の解明に取り組んでいます。
観測装置
以下に紹介する観測装置は、一部を除き津田研究室によって独自に開発・設置されたものです。
- 大型大気レーダー
- VHF帯の電波を上空に送信すると大気中の乱流による屈折率の揺らぎや電離圏の電子などからの微弱な散乱電波が受信でき、大気の運動(風速)や電子密度などの情報が得られます。成層圏、中間圏、電離圏などを観測するためには大型のアンテナと高出力の送信機が必要です。
- 流星レーダー
- 太陽系内を運動する塵(流星物質)が地球大気に突入して発光する現象が流星ですが、このとき高度80-110kmにできる電子飛跡(電離飛跡)は、強く電波を散乱します。この散乱を利用して、高度80-110kmの大気の運動(風速)や温度情報を測定するのが流星レーダーです。
- 京都大学流星レーダー(信楽町(現甲賀市))
- ジャカルタ流星レーダー(スルポン、西ジャワ・インドネシア)
- コトタバン流星レーダー
- MF(中波)レーダー
- 2-3MHzの中波帯(AM放送波と同様の電波)の電波が、電離圏D層(60-100km)で一部分反射されることを利用して、地上に設置した複数の受信アンテナの信号差から高度60-100kmの水平風速を計測します。
- RASS(Radio Acoustic Sounding System)
- 電波と音波を用いて上空の大気温度を計測します。 MUレーダーの周囲に設置したスピーカーから音波を上空に発射します。条件が整うとその波面が進んで行く速度をMUレーダーで観測でき、大気温度と音速の関係式を用いて、上空の大気の温度を求めることが出来ます。 赤道大気レーダーでも同様の観測を行っています。
- ラジオゾンデ
- 気球に温度、湿度や位置(GPS)のセンサーを搭載した観測装置(T.B.D.)です。
- 大気光イメージャ
- 中間圏から熱圏にかけて、様々な原子・分子が目には見えない光を放射している層が存在します。この微弱な光を大型のレンズで集め、CCDカメラで捉えることにより、光の強さの水平分布から発光物質の濃度分布を割出し、大気中を伝播する波動のパラメータなどを推定するのに利用します。
- OHイメージャ 信楽(Mujinkun)
- 全天多波長イメージャ ASI
- OHイメージャ タンジュンサリ
- 全天OHイメージャ
- ライダー(Lidar)
- レーザー光を上空に放射し、大気分子、エアロゾル(雲・ダスト等)などからの散乱光を望遠鏡で集光して検出することにより、上空の大気の温度、組成(水蒸気、オゾン量など)、エアロゾル特性、風速などを測定する装置です。
- 信楽MU観測所 レイリー・ラマンライダー
- 小型可搬型水蒸気ラマンライダー
- GPS受信機
- カーナビゲーションなどでお馴染みのGPSは、そもそも地球上で3次元的に「位置」を正確に求めるためのものですが、電波を利用しているため、空気中の水蒸気などの影響で僅かな誤差が生まれます。ところが逆に受信機の位置が正確に分かっていれば、誤差の大きさから大気中の水蒸気量が推定できます。津田研ではこの手法で、従来の方法では難しかった水蒸気量の短時間変動などを求めています。
装置が用いられる研究
ここで紹介している装置は、それぞれ以下の表のように各研究に用いられています。