Research Institute for Sustainable Humanosphere

樹体内炭素動態に基づいた森林土壌の炭素放出プロセスの解明
Forest soil carbon dynamics: carbon allocation of tree photosynthate to belowground ecosystem

氏名 安宅未央子
共同研究者 高橋けんし
採択年 2020(令和2) 年度

土壌から放出するCO2量は、全球で約80 PgC yr−1 (化石燃料起源のCO2量の11倍)を占めている。よって、地球温暖化に伴う環境変動の影響を受けて、土壌炭素放出速度がわずかでも変動すれば、全球レベルの大気中のCO2濃度に強く影響する。しかし、土壌炭素放出は「植物由来の呼吸」と「微生物呼吸」といった本質的に由来の異なるプロセスが混合した結果であり、各々の呼吸は異なった環境応答性をもっているため、時間的・空間的に大きく変動し、十分な精度で定量評価することが難しい。そのため、森林生態系スケールの土壌炭素放出量ひいては炭素収支を正確に定量するためには、各々のCO2放出特性を個別に分離して理解する必要がある。

特に、森林炭素収支研究では、測定手法の限界から光合成由来の炭素を介した土壌炭素放出プロセスの把握が進んでいない。光合成によって樹木に取り込まれた炭素は、幹や根・菌根菌(根圏)に配分・呼吸として再放出されるのに加え、根圏から炭素を分泌(根圏滲出物)し、根圏まわりの土壌有機物分解を促進する働きがある。これまでの自身の研究では、幹や細根を対象に、高頻度測定によるCO2放出速度の環境応答性を評価してきた。その結果、温度と呼吸速度の関係は大きくばらつくことに加え、その関係は季節によって異なることから、地上部の光合成活動による地下部への炭素配分による時間おくれによって影響を受けていることが示唆された。従って、幹や地下部の炭素放出プロセスは、地上部光合成と連動した様々な時間スケールでの炭素供給によって応答していると予測される。

本研究では、樹木の各部位の炭素吸収・放出速度を網羅的かつリアルタイムで測定できる手法と樹体内炭素動態を測定できるパルスラベリング法を用いて、樹木全体の炭素吸収・放出速度の環境応答特性を評価し、樹体内炭素動態と関連付けることで、地上部-地下部生態系間のつながりに着目した森林土壌炭素放出プロセスを定量的に解明する目的とする。

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2020年4月24日作成

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