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第531回生存圏シンポジウム
太陽地球系物理学分野のデータ解析手法、ツールの理解と応用

更新日: 2024/10/29

開催日時 2024/09/17(火曜日) - 2024/09/20(金曜日)
開催場所 九州工業大学戸畑キャンパス および オンライン
申請代表者 新堀 淳樹(名古屋大学 宇宙地球環境研究所)
所内担当者 山本 衛、橋口 浩之(生存圏研究所)
関連ミッション ミッション1 環境診断・循環機能制御
ミッション3 宇宙生存環境
ミッション5 高品位生存圏
関連分野 太陽地球系物理学、超高層大気物理学、データ科学

9月17~20日に本研究集会と関連する「中間圏・熱圏・電離圏研究会」「STE研究連絡会現象報告会および現象解析ワークショップ」の2つの研究集会と合同で開催する。


09/17 (火) 午前 (09:30 開始予定) 超小型, 午後 データ解析
09/18 (水) 午前 データ解析 & MTI, 午後 現象報告会, 夕方 懇親会 (小倉駅周辺)
09/19 (木) 午前 現象報告会, 午後 MTI & データ解析
09/20 (金) 午前 ポスター, 午後 データ解析講習会


概要

令和6年9月17日から20日にかけて太陽地球系物理学分野のデータ解析手法とその応用分野と密接な関わりを持つ「STE(太陽地球環境)現象報告会」「超小型衛星を利用した超高層大気研究の将来ミッションの検討」「中間圏・熱圏・電離圏(MTI)」との合同で開催した。本研究集会は,研究発表セッション(口頭+ポスター発表)とデータ解析講習会の2部構成で行った。口頭発表枠は、大学間連携プロジェクト「超高層大気長期変動の全球地上ネットワーク観測・研究(Inter-university Upper atmosphere Global Observation NETwork:IUGONET)」の概要とデータ公開・解析基盤の開発・運用、プロジェクト活動を通じた国際ネットワークの構築とサイエンス成果、メタデータ可視化向上とDOI付与、将来計画などの講演が行われた。また、データ解析講習会では、大学院生・学部生向けにPythonベースのデータ解析ツール(PySPEDAS)の使用法についての講習を実践形式で行った。

目的と具体的な内容

本研究集会は、「超高層大気長期変動の全球地上ネットワーク観測・研究(略称:IUGONET)」プロジェクトが主催する研究集会である。地球の超高層大気は、太陽系空間からのエネルギー入力に加えて、下層大気からの影響も受けて変動する。よって、超高層大気における多様な現象を解明するには、全球にわたる3次元結合系を考慮する必要があり、極域から赤道に至る全球的な地上観測や宇宙空間からの衛星観測から得られた多様な観測データ、及び、シミュレーションデータを組み合わせた複合解析が欠かせない。このような背景の下、各々のデータに効果的な解析手法(機械学習などのデータサイエンス手法等)とそれに必要な様々な解析ツールやデータベース(例えば、データ検索・取得・可視化サービスや統合解析ツール)が開発されてきた。しかしながら、これらの解析手法やツールの情報は、世代を超えた研究者間で共有されるようになってきたが、学生や若手研究者が自らの研究課題に対しての成果創出には多くの時間と自助努力が必要である。
 本研究集会では、太陽地球系物理学分野の研究者・学生、データ所有者、データベース・解析ツール開発者が一堂に会し、お互いの知識を共有し、各々の研究者にとって最適な解析方法、研究フローを構築することを目的とする。本目的を達成するために令和6年度の研究集会では、IUGONETプロジェクトの概要、15年間の成果報告と現状、プロジェクトに関連したデータ公開・解析基盤の開発・運用、IUGONETの活動を通じた国際ネットワーク構築、メタデータ可視化向上とDOI付与、将来計画などの講演からなるプログラム構成とした。また、プロジェクト発足当時に活躍されていた先生・開発員から、当該分野におけるデータ体制整備の歴史や、IUGONETの発足の背景、メタデータフォーマット選定について、今後のIUGONETへの期待、などの講演があった。さらに、様々な分野で活躍されている研究者や学生から、それぞれの分野の最先端の研究成果に加えて、データサイエンスへの取り組みの現状と今後に関して講演があった。あわせて、合同ポスターセッションや、学生・若手へのデータサイエンス教育の一環として、Pythonベースのソフトウェアによるデータ解析講習会を実施した。

生存圏科学の発展や関連コミュニティの形成への貢献

本研究集会は、人類の生存環境である大気圏と宇宙圏との境界領域である超高層大気で起こる様々な長期・短期現象を理解するために、最新のデータ解析手法の共有と多種多様な太陽地球観測データの利用促進を目的としており、生存圏研究所の主要研究ミッション1「環境診断・循環機能制御」、ミッション3「宇宙生存環境」、ミッション5-3「日常生活における宇宙・大気・地上間の連関性」に深く関連する。これまで大学間連携プロジェクト「IUGONET」で開発してきた太陽地球物理学分野のデータベースと異種のデータセットを組み合わせて1元的に解析やデータの可視化を行うデータ解析解析ツールは、これまで長年にわたり生存圏研究所が取得してきた信楽MUレーダーをはじめとする各種の測器で得られた大気圏観測データに応用可能である。さらに将来的には、生存圏研究所が主導している大型研究計画「太陽地球系結合過程の研究基盤形成」や生存圏フラッグシップ共同研究「赤道ファウンテン」の研究成果創出に向けたインフラの整備、研究コミュニティの形成、若手研究者の育成に繋がると考えられる。このような背景の下、例年に引き続き、本年も太陽地球系物理学分野のデータ解析手法とその応用に関連する研究集会と合同開催した。その結果、その結果、個人の努力のみでは非効率だった研究方法が改善され、短期間で高度な研究成果を創出するための研究環境が整い、本人の研究能力向上に役立てられている。実際に本研究集会に継続して参加している修士・博士課程に在籍する学生らの筆頭査読論文が年10本以上出版されており、中には地球電磁気・惑星圏学会(SGEPSS)等における学生発表賞、SGEPSS論文賞を受賞した参加者も出ている。また、データ解析講習セッションの開催により、学生や若手研究者が太陽地球系物理学分野のデータの総合解析を主体的に推進できるようになることが期待される。一方、2017年度以降からは本研究集会と関連のある「中間圏・熱圏・電離圏研究会」、「超小型衛星を利用した超高層大気研究の将来ミッションの検討」及び「STE現象報告会」との合同研究集会として開催しており、参加者が太陽地球系物理分野の現象の理解、データ解析手法、最新の研究成果とその動向を学べるようになっている。これにより、関連分野のコミュニティ形成に寄与するとともに他分野との融合研究への発展等が期待される。また、本シンポジウムの経費は唯一学部生に旅費を支弁できるため、学部の段階から本研究集会に参加することで、データ解析のノウハウを身につけることができ、今後の大学院での研究成果創出の貢献への期待が持てる。

プログラム

口頭発表プログラム

9 ⽉ 17 ⽇ (⽕)   付属図書館 (⼾畑本館) 4F AV ホール

【座⻑: ⽥中 良昌 (極地研), 新堀 淳樹 (名⼤ ISEE), 阿部 修司 (九⼤ i-SPES)】
13:00-13:10 (⼀般講演) IUGONET プロジェクトの概要と基盤開発
 ⽥中 良昌 (極地研), 阿部 修司 (九⼤), 今城 峻 (京⼤), 能勢 正仁 (名市⼤),新堀 淳樹 (名⼤), 上野 悟 (京⼤)
13:10-13:20 (⼀般講演) IUGONET プロジェクトの活動を通じたサイエンス成果
 新堀 淳樹 (名⼤), ⽥中 良昌 (極地研), 阿部 修司 (九⼤), 今城 峻 (京⼤), 上野 悟 (京⼤), 能勢 正仁 (名市⼤)
13:20-13:30 (⼀般講演) IUGONET におけるメタデータ可視化向上と DOI 付与
 能勢 正仁 (名市⼤), 新堀 淳樹 (名⼤), 阿部 修司 (九⼤), ⽥中 良昌 (極地研), 今城 峻 (京⼤), 上野 悟 (京⼤)
13:30-14:00 (招待講演) 地球電磁気学・太陽地球系物理学のデータ体制整備の歴史
 荒⽊ 徹 (前京⼤理)
14:00-14:20 (⼀般講演) PWING/PBASE と IUGONET の関わりと現状
 塩川 和夫 (名⼤ ISEE)
14:20-14:40 (⼀般講演) ⼤型研究「太陽地球系結合過程の研究基盤形成」紹介とこれまでの経緯
 ⼭本 衛 (京⼤ RISH)
14:40-15:00 (招待講演) 次世代の太陽⾵観測と太陽地球系
 岩井 ⼀正 (名⼤ ISEE)
15:00-15:20 (休憩)
15:20-15:40 (招待講演) IUGONET プロジェクトの事始め
 佐藤 夏雄 (国⽴極地研究所)
15:40-16:00 (招待講演) 宇宙活動の⻑期的持続可能性に影響するスペースデブリと地球温暖化
 花⽥ 俊也 (九州⼤学)
16:00-16:20 (招待講演) 国⽴天⽂台における太陽データアーカイブ・配布・解析システム(SDAS/MDAS)
 下条 圭美 (NAOJ)
16:20-16:40 (招待講演) IUGONET メタデータアーカイブへの GAIA シミュレーションデータの登録と DOI 登録システム
 垰 千尋 (NICT), 陣 英克 (NICT), 新堀 淳樹 (名⼤ ISEE), 能勢 正仁 (名市⼤), ⽥中 良昌 (極地研), 阿部 修司 (九⼤), 村⼭ 泰啓 (NICT), 品川 裕之(九⼤), 三好 勉信 (九⼤), 藤原 均 (成蹊⼤)
16:40-17:00 (招待講演) 九州⼤学機関リポジトリにおける i-SPES 地磁気観測データのメタデータ登録
 芦北 卓也 (九州⼤学附属図書館)
17:00-17:20 (⼀般講演) IUGONET メタデータの来し⽅⾏く末
 堀 智昭 (名⼤ ISEE)
17:20-17:40 (招待講演) Post midnight に観測された STEVE のような発光現象
 南條 壮汰 (IRF), Gabriel A. Hofstra (写真家), 塩川 和夫 (名⼤ ISEE), 新堀淳樹 (名⼤ ISEE), 野澤 悟徳 (名⼤ ISEE), 細川 敬祐 (電通⼤)
17:40-18:00 (招待講演) 今後の IUGONET への期待
 藤井 良⼀ (極地研)

9 ⽉ 18 ⽇ (⽔)   付属図書館 (⼾畑本館) 4F AV ホール

【座⻑: 能勢 正仁 (名市⼤】
09:00-09:20 (招待講演) 地上磁場観測と FM-CW レーダーを⽤いたサブストーム時の全球電磁場応答の解析
 林 萌英 (九州⼤学), 吉川 顕正 (九州⼤学), ⼤⾕ 晋⼀ (ジョンズホプキンス⼤学応⽤物理研究所), ⻄村 幸敏 (ボストン⼤学), 藤本 晶⼦ (九州⼯業⼤学)
09:20-09:40 (招待講演) 拡張 Kalman フィルタ法で訓練された回帰型ニューラル
ネットによる地磁気永年変化の短期予測
 佐藤 匠 (京都⼤学), 藤 浩明 (京都⼤学)
09:40-10:00 (⼀般講演) 全天画像から雲の時空間分布を作成するシステムの開発
 ⽯井 智⼠ (⽴教⼤), 冨川 喜弘 (NIPR, 総研⼤, ROIS-DS), ⽥中 良昌(ROIS-DS, NIPR, 総研⼤), ⾨倉 昭 (ROIS-DS, NIPR, 総研⼤)
10:00-10:20 (⼀般講演) ⾶騨天⽂台 SMART で観測された太陽活動現象カタログ 〜 現象に紐づいたデータ検索に向けたカタログ整備 〜
 伊集 朝哉 (京⼤・理・附属天⽂台), 永⽥ 伸⼀ (京⼤・理・附属天⽂台), ⽯井 貴⼦ (京⼤・理・附属天⽂台), 上野 悟 (京⼤・理・附属天⽂台)
10:20-10:40 (招待講演) エミュレータへのデータ同化と極域電離圏再解析データ作成への展望
 中野 慎也 (統数研/ROIS DS), Sachin Reddy (極地研), ⽚岡 ⿓峰 (極地研),中溝 葵 (NICT), 藤⽥ 茂 (ROIS DS/統数研)

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2024年3月22日作成/10月29日更新

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