9月17~20日に本研究集会と関連する「STE研究連絡会現象報告会および現象解析ワークショップ」、「太陽地球系物理学分野のデータ解析手法、ツールの理解と応用」の2つの研究集会と合同で開催する。
09/17 (火) 午前 (09:30 開始予定) 超小型, 午後 データ解析
09/18 (水) 午前 データ解析 & MTI, 午後 現象報告会, 夕方 懇親会 (小倉駅周辺)
09/19 (木) 午前 現象報告会, 午後 MTI & データ解析
09/20 (金) 午前 ポスター, 午後 データ解析講習会
概要
令和6年9月17-20日にかけて中間圏・熱圏・電離圏(MTI)分野と密接な関わりを持つ「STE(太陽地球環境)現象報告会」「超小型衛星を利用した超高層大気研究の将来ミッションの検討」「太陽地球環境データ解析に基づく超高層大気の空間・時間変動の解明~ IUGONET プロジェクト 15 年の歩みとその将来 ~」との合同で開催した。本研究集会(MTI)では,招待講演を中心とした口頭発表セッションと若手や学生を中心としたポスター発表セッションを開催した。地球および他惑星に関連するMTI分野と工学・情報工学分野との分野横断型研究について活発な議論が行われた。
目的と具体的な内容
中間圏・熱圏・電離圏(Mesosphere, Thermosphere and Ionosphere; MTI)領域は、太陽や宇宙からの粒子及び電磁エネルギーの流入による影響に加え、下層大気から伝搬する大気波動などによって激しく変動する領域である。また同領域は、衛星測位に対する誤差要因など現代の社会基盤維持といった応用的な観点からも注目が高まっている。本研究集会は、上記のような MTI領域の特徴を意識し、この領域で生じている物理・化学過程の理解を深めること、および他の研究領域や社会への応用を俯瞰的に捉えることを目的とする。口頭発表(9件、うち6件招待講演)では、招待講演を中心としたプログラム構成とし、太陽活動サイクル25極大期(2025年ごろ)の到来と次期太陽活動サイクルを見据えて、太陽、気象、惑星科学などのMTI周辺分野に関する機械/深層学習、データ同化研究や、民間企業によるGNSS高密度電離圏データ計測による講演を企画実施した。一方で、MTI分野の学生・若手研究者の育成の観点から、合同ポスターセッション(ポスター27件)を中心に彼ら自身による研究発表と質疑応答の場を提供し、最新の研究成果を日本語で正確に発表するとともにその内容についての質疑応答時間を多くとるプログラム構成にした。ポスター発表は4つの研究会合同実施ということもあり、異分野間における参加者から多くの質問や議論が活発に行われ非常に活気あふれるポスターセッションとなった。各発表者が今後、研究を進めていく上での方針や新たな研究テーマを設定していくための重要な助言等を得ることができた。
生存圏科学の発展や関連コミュニティの形成への貢献
本研究集会は、生存圏研究所が掲げる5つのミッションのうち、主として「環境診断・循環機能制御」(ミッション1)、「宇宙生存環境」(ミッション3)、「高品位生存圏:日常生活における宇宙・大気・地上間の連関性」(ミッション5-3)に深く関連する。本研究集会が対象としているMTI領域は、太陽放射と太陽風のエネルギー流入による宇宙空間からの影響に加え、下層大気から伝搬する大気波動などによって激しく変動する宇宙圏と地球大気圏をつなぐ領域である。この領域で発生する諸現象の解明には、MTI分野と太陽から気象分野で活躍する研究者が連携した学際的な共同研究が不可欠である。このような背景から、本研究集会によって分野を横断する共同研究、研究者コミュニティの形成への貢献ができたと考える。一方で、MTI領域で発生する擾乱現象は、衛星測位誤差、通信電波伝搬障害、次世代衛星インターネットサービス基盤である衛星の大気圏再突入等の要因である。これらは、現代社会で不可欠な宇宙インフラおよび地上インフラに多大な影響を及ぼすため、MTI領域の研究結果は社会応用的な側面への貢献にもつながると期待される。例年に引き続き、本年もMTIと関連する研究集会と合同開催することにより、大気圏下層から宇宙圏にまたがる多圏間相互作用に関する理解深化の機会になった。
プログラム
9 ⽉ 18 ⽇ (⽔) @ 付属図書館 (⼾畑本館) 4F AV ホール
【座⻑: 新堀 淳樹 (名古屋⼤)】
11:00-11:30 (招待講演) 太陽フレア放射とその電離圏・熱圏への影響
online 渡邉 恭⼦ (防衛⼤)
11:30-12:00 (招待講演) データ圧縮⼿法を⽤いた太陽⼤気現象での深層学習モデリング
飯⽥ 佑輔 (新潟⼤学), Jalgalmaa Batmunkh (新潟⼤学), 久保 友樹 (新潟⼤学)
9 ⽉ 19 ⽇ (⽊) @ 付属図書館 (⼾畑本館) 4F AV ホール
【座⻑: 冨川 喜弘 (極地研)】
13:30-14:00 (招待講演) ⾦星⼤気の GCM 研究の紹介
杉本 憲彦 (慶⼤), 藤澤 由貴⼦ (慶⼤), ⼩守 信正 (慶⼤), 安藤 紘基 (京産⼤), ⾼⽊ 征弘 (京産⼤), 樫村 博基 (神⼾⼤), 松⽥ 佳久 (東京学芸⼤),AFES-Venus & ALEDAS-V teams
14:00-14:30 (招待講演) 新観測⼿法で拓く南半球および中緯度帯における夜光雲の動態研究
鈴⽊ 秀彦 (明治⼤), ⾼⽥ 拓 (都⽴産業技術⾼専), 加藤 恵輔 (明治⼤), 冨川喜弘 (極地研), 津⽥ 卓雄 (電通⼤), ⽯井 智⼠ (⽴教⼤), Peter Dalin (IRF),遠藤 哲歩 (明治⼤), 川上 莉奈 (明治⼤), 増⽥ 歩⾳ (明治⼤)
14:30-14:45 (休憩)
【座⻑: ⻄岡 未知 (NICT)】
14:45-15:15 (招待講演) Generation of Equatorial Plasma Bubbles by Marapi Volcano Eruption
Septi Perwitasari (NICT), Michi Nishioka (NICT), Yuichi Otsuka (ISEE Nagoya University), Susumu Saito (ENRI), Asnawi Husein (BRIN), Annis Siradj Mardiani (BRIN), Pornchai Supnithi (KMITL), Punyawi Jamjareegulgarn (KMITL), Tharadol Komolmis (CMU)
15:15-15:30 (⼀般講演) 2013 年 3 ⽉磁気嵐時のプラズマバブル衰退時における南北⾮対称性に対する GAIA モデルを⽤いた初期解析結果
惣宇利 卓弥 (京⼤ RISH), 新堀 淳樹 (名⼤ ISEE), 垰 千尋 (NICT), 陣 英克 (NICT), ⼤塚 雄⼀ (名⼤ ISEE), ⻄岡 未知 (NICT), Septi Perwitasari (NICT)
【座⻑: 中⽥ 裕之 (千葉⼤)】
15:30-16:00 (招待講演) 全国 3,300 点以上の GNSS 独⾃基準点を運⽤するソフトバンクの取り組みについて
⻄村 嘉祐 (ソフトバンク株式会社/ALES 株式会社), 池⽥ 将平 (ソフトバンク株式会社/ALES 株式会社)
16:00-16:15 (⼀般講演) GPS 及びイオノゾンデ観測に基づく中規模伝搬性電離圏擾乱とスポラディック E 層の結合過程の統計解析
渡辺 ⼀唯 (名⼤ ISEE), ⼤塚 雄⼀ (名⼤ ISEE), 新堀 淳樹 (名⼤ ISEE), 惣宇利 卓弥 (京⼤ RISH), Veera Kumar Maheswaran (SASTRA Deemed University), ⻄岡 未知 (NICT), Perwitasari Septi (NICT)
16:15-16:30 (⼀般講演) FMCW ⽅式短波ドップラー観測を⽤いた夏季夜間スポラディック E 移動特性の研究
齋藤 ⿓之介 (電通⼤), 細川 敬祐 (電通⼤), 並⽊ 紀⼦ (電通⼤), 野崎 憲朗 (電通⼤), 中⽥ 裕之 (千葉⼤), 坂井 純 (電通⼤), 冨澤 ⼀郎 (電通⼤)
「合同ポスターセッション」
9 ⽉ 20 ⽇ (⾦) @ 百周年中村記念館 1F フォーラム
09:00-12:00 (ポスターコアタイム)
P01 シングルボードコンピュータを利⽤した⼩型デジカメシステムの開発と多点観測
津⽥ 卓雄 (電通⼤), ⻘⽊ 猛 (電通⼤)
P02 トロムソ Na ライダーに適⽤する時間差マルチビーム観測⽅式の開発
佐藤 洸太 (電通⼤), 津⽥ 卓雄 (電通⼤), 雁⾦ 沙弥⾹ (電通⼤), ⻘⽊ 猛 (電通⼤), 斎藤 徳⼈ (理研), 野澤 悟徳 (名⼤), 川端 哲也 (名⼤), 川原 琢也 (信⼤), ⾼橋 透 (海上・港湾・航空技術研究所 電⼦航法研究所)
P03 ひまわり 8 号/9 号の PMC 検出結果の⽐較と 2015-2024 年の PMC 変動の解析
森⼭ 陽介 (電通⼤), 津⽥ 卓雄 (電通⼤), 安藤 芳晃 (電通⼤), 村⽥ 健史 (NICT)
P04 ⾼緯度帯観測に特化した夜光雲観測カメラの開発ーキルナにおける試験観測
遠藤 哲歩 (明治⼤), 川上 莉奈 (明治⼤), 増⽥ 歩⾳ (明治⼤), Peter Dalin (IRF), 津⽥ 卓雄 (電通⼤), 鈴⽊ 秀彦 (明治⼤)
P05 船上での夜光雲観測のための⼩型係留気球システムの開発−南極昭和基地における試験観測
川上 莉奈 (明治⼤), ⾼⽥ 拓 (産技⾼専), 加藤 恵輔 (明治⼤), ⽣⻲ 弘務 (信州⼤, 産技⾼専), 鈴⽊ 悠泰 (産技⾼専), 遠藤 哲歩 (明治⼤), 吉⽥ 理⼈ (総研⼤), 冨川 喜弘 (総研⼤, 極地研), 津⽥ 卓雄 (電通⼤), ⽯井 智⼠ (⽴教⼤), 鈴⽊ 秀彦 (明治⼤)
P06 Using Ionospheric Tomography to Analyze the April 8, 2024, North American Total Solar Eclipse Event
林 家⿑ (成⼤ EARS)
P07 ⼀般化オーロラトモグラフィ解析の⾼速化の検討
⽥中 良昌 (極地研), ⼩川 泰信 (極地研), ⾨倉 昭 (極地研), 吹澤 瑞貴 (極地研), 細川 敬佑 (電通⼤), 津⽥ 卓雄 (電通⼤)
P08 超⾼⾼度オーロラ加速領域の総合解析
今城 峻 (京⼤地磁気), 三好 由純 (名⼤ ISEE), ⾵間 洋⼀ (Academia Sinica), 浅村 和史 (ISAS), 篠原 育 (ISAS), 塩川 和夫 (名⼤ ISEE), 笠原 禎也 (⾦沢⼤), 笠⽻ 康正 (東北⼤),松岡 彩⼦ (京⼤地磁気), S.-Y. Wang (Academia Sinica), S. W. Y. Tam (台湾中央⼤學), T.-F. Chang (台湾中央⼤學), B.-J. Wang (Academia Sinica), C.-W. Jun (名⼤ ISEE), 寺本 万⾥⼦ (九州⼯業⼤), 栗⽥ 怜 (京⼤ RISH), ⼟屋 史紀 (東北⼤), 熊本 篤史 (東北⼤), 齋藤
幸碩 (東北⼤), 堀 智昭 (名⼤ ISEE)
P09 ファブリ・ペロー⼲渉計を⽤いた波⻑ 427.8 nm の⻘いオーロラの観測における測定誤差の原因の検討
菊池 ⼤希 (名⼤ ISEE), 塩川 和夫 (名⼤ ISEE), ⼤⼭ 伸⼀郎 (名⼤ ISEE), ⼩川 泰信 (極地研), 栗原 純⼀ (情報⼤)
P10 IAR cavity 領域に関する⼈⼯衛星・レーダー観測レビューと2次元 ideal MHD シミュレーションの⽐較
川上 航典 (九⼤), 吉川 顕正 (九⼤)
P11 熱圏中性⼤気組成観測に向けた質量分析器開発の現状
⽶⽥ 匡宏 (京⼤), ⿑藤 昭則 (京⼤), 齋藤 義⽂ (宇宙研)
P12 DMSP 衛星観測データを⽤いた表⾯帯電を引き起こす⾼エネルギー電⼦条件の検討
升野 颯⼈ (九⼯⼤), 寺本 万⾥⼦ (九⼯⼤), 荒⽊ ⼤智 (九⼯⼤), 北村 健太郎 (九⼯⼤), 奥村 哲平 (JAXA), 古賀 清⼀ (JAXA), 岡本 博之 (JAXA)
P13 地球近傍においてあらせ衛星が取得した地磁気データの正確性の調査
久⽥ ⼤⽣ (九⼯⼤), 寺本 万⾥⼦ (九⼯⼤), 松岡 彩⼦ (京都⼤学), ⼭本 和弘 (名古屋⼤学), 三好 由純 (名古屋⼤学), 篠原 育 (JAXA, ISAS), 北村 健太郎 (九⼯⼤)
P14 BBM を⽤いた⼩型ベクトル・スカラー磁⼒計の制御部分の開発及び磁⼒計較正システムの数値的検討
福元 笑美乃 (九⼯⼤), 寺本 万⾥⼦ (九⼯⼤), ⿂住 禎司 (九⼤/国際宇宙惑星環境研究センター), 北村 健太郎 (九⼯⼤)
P15 観測ロケットによるラングミュアプローブ観測におけるロケットウエークの影響の検討
上⽥ 遥介 (京⼤理), ⿑藤 昭典 (京⼤理), 阿部 琢美 (JAXA)
P16 観測ロケットによる電離圏直接観測:RIDE キャンペーン
⻫藤 昭則 (京⼤理), RIDE キャンペーングループ
P17 S-520-32 に搭載された GNSS 受信機とビーコン受信機による Es 層と F 領域構造の⽐較
⾼橋 透 (ENRI, MPAT), 斎藤 享 (ENRI, MPAT), ⼭本 衛 (京⼤RISH), 芦原 佑樹 (奈良⾼専), 熊本 篤志 (東北⼤), 篠原 学 (⿅児島⾼専)
P18 イオノゾンデ受信機網による Es 層の⽔平移動の観測
古城 侑季 (京⼤), ⿑藤 昭則 (京⼤), ⻄岡 未知 (NICT), 前野 英⽣ (NICT), 近藤 巧(NICT)
P19 HF ドップラー観測における FMCW を⽤いた測距観測の初期結果報告
中⽥ 裕之 (千葉⼤⼯), 細川 敬祐 (電通⼤), 野崎 憲朗 (電通⼤), 並⽊ 紀⼦ (電通⼤), 坂井純 (電通⼤), 冨澤 ⼀郎 (電通⼤), 有澤 豊志 (電通⼤)
P20 HF 帯正常波と異常波の電離圏伝搬中における伝搬経路・減衰計算
阿部 祥⼤ (千葉⼤学⼤学院融合理⼯学府), 中⽥ 裕之 (千葉⼤学⼤学院融合理⼯学府), ⼤⽮ 浩代 (千葉⼤学⼤学院融合理⼯学府)
P21 イオノゾンデ観測の⾒かけ⾼度校正状況
⻄岡 未知 (NICT), 津川 卓也 (NICT)
P22 南極昭和基地における電離圏観測: 2024 年 5 ⽉イベント解析
垰 千尋 (NICT), ⻄岡 未知 (NICT), 南極WG (NICT)
P23 HF ドップラー観測とインフラサウンド観測を⽤いた 2022 年台⾵ NANMADOL 接近から通過に伴う電離圏擾乱の解析
榎本 陸登 (千葉⼤学), 中⽥ 裕之 (千葉⼤学), 細川 敬祐 (電気通信⼤学), ⼤⽮ 浩代 (千葉⼤学)
P24 ⼩規模⼭岳で励起された⼭岳波の⾼層⼤気への伝搬特性の解明
⽯井 智⼠ (⽴教⼤), 鈴⽊ 秀彦 (明治⼤)
P25 領域気象モデル WRF と GNSS-TEC の⽐較
⽊暮 優 (九州⼤学), Huixin Liu (九州⼤学), ⻄岡 未知 (NICT), Septi Perwitasari (NICT)
P26 アメリカ域 GNSS 観測に基づく中緯度プラズマバブルの統計的特性
加藤 颯太 (ISEE), ⼤塚 雄⼀ (ISEE), 野澤 悟徳 (ISEE), 新堀 淳樹 (ISEE), 惣宇利 卓弥 (京⼤ RISH), ⻄岡 未知 (NICT), Septi Perwitasari (NICT)
P27 CEJ 発⽣⽇の南⽶プラズマバブル成⻑イベント検証
加藤 彰紘 (九⼤), 藤本 晶⼦ (九⼯⼤), 吉川 顕正(九⼤理, 九⼤ i-SPES)
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2024年3月22日作成/10月18日更新