研究課題
越境大気汚染によるイオウ酸化物の飛来が森林土壌のイオウ蓄積量に与える影響の評価
―土壌に保持されているイオウ化合物の主形態の解明 ―
研究組織
代表者 | 谷川 東子 (名古屋大学大学院生命農学研究科) |
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共同研究者 | 杉山 暁史 (京都大学生存圏研究科) 山下 満 (兵庫県立工業技術センタ-) |
関連ミッション |
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研究概要
東アジアでは、大気汚染がもたらす生存圏への影響は、人類が生態系サービスを享受し続けられるか否かにかかわる重大な関心事である。大陸で発生した汚染物質は日本にも多く飛来し、「越境大気汚染による年間イオウ負荷量への寄与率は、我が国では30~65%」と環境省は見積もっている。越境大気汚染の影響を受けている加治川集水域 (KJK)では、冬季にイオウ負荷量が高くなるにもかかわらず、渓流水質の季節性は見当たらないことから、土壌におけるイオウ蓄積能が緩衝機構として働いていると推察されている(Saito et al., 2023 JFS)。土壌の許容量を超えたイオウ負荷は「土壌からの有害なアルミニウムイオン放出」を誘発するため、越境大気汚染下の森林土壌におけるイオウ蓄積実態の解明は急務となっている。
そこで本研究では、KJK土壌のイオウ蓄積実態を解明する。昨年度は土壌調査を実施し、その全イオウ蓄積量を明らかにした(塩出ら, 2024日本森林学会発表)。今年度は、KJK土壌においてイオウは比較的安定した形態で保存されているのかを明らかにすることを目的とする。
代表的な酸性負荷物質であるイオウを森林生態系で扱う研究は、窒素等に比べ世界でも少なく、他と類似しない視点から、土壌圏の科学を推進する。
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2024年8月6日作成