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2024(令和6) 年度 生存圏科学 共同研究 10

更新日: 2024/08/30

研究課題

イネ科植物に特有のリグニン部分構造獲得の起源と分子機構に関する研究

研究組織

 代表者 木村 ゆり(山形大学農学部)
 共同研究者 飛松 裕基 (京都大学生存圏研究所)
関連ミッション
  • ミッション1 環境診断・循環機能制御
  • ミッション2 太陽エネルギー変換・高度利用
  • ミッション5 高品位生存圏

研究概要

木質バイオマスの主要成分の1つであるリグニンは、その蓄積量の多さから、化石資源に代わって芳香族系材料や化成品を安定的に供給するための重要分子として注目されている。しかし、リグニンの複雑多様な化学構造がその有効利用を阻害する主要因となっている。代謝工学を通じたリグニンの化学構造制御によるリグニンの利用価値向上が期待されているが、そのためには植物種間で異なるリグニン生合成機構への理解を深める必要がある。

単子葉イネ科植物は、その成長速度の速さから重要な木質バイオマス供給源として注目されるバイオマス植物を多く含む。イネ科植物のリグニンは、被子植物に共通のH・G・Sリグニン部分構造に加え、本植物グループ特異的な部分構造も有している(図A)。これらはイネ科リグニンにおいて相当な割合を占めるにも関わらず、その生合成機構には未だ多くの未解明点が残されている。本研究では、その生合成機構の全容解明に向けて、これらの構造が獲得されるに至った進化の分子機構解明に挑む。具体的には、近年ゲノム配列が解読済みのイネ科祖先種(図B)の数が増大していることを受け、以下の研究を遂行する。まず(1)ゲノム配列が入手可能なイネ科祖先種について可溶性代謝物とリグニン構造の分析を行い、イネ科特有とされているリグニン部分構造の分布を明らかにする。続いて、(2)ゲノム情報を活用して構築した大規模分子系統樹に基づく生化学的解析を通じ、リグニン構造の多様化をもたらした分子機構の解明を目指す。以上により得られる成果は、有用バイオマス植物における代謝工学を通じたリグニンの利用価値向上に向けた基盤情報となる。

補足テキスト: 2024(令和6)年度生存圏ミッション研究#10

図:イネ科植物における特異なリグニン構造(A)の進化的な獲得メカニズム解明に向けた本研究の戦略(B)

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2024年8月1日作成

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