研究課題
ため池が温室効果ガス動態を通じて地域の炭素循環に果たす役割の解明
研究組織
代表者 | 坂部 綾香 (京都大学 農学研究科) |
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共同研究者 | 伊藤 雅之 (京都大学 生存圏研究所) 高橋 けんし(京都大学 生存圏研究所) |
関連ミッション |
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研究概要
瀬戸内の少雨地域には農業用ため池が多く存在し、藻類の光合成は二酸化炭素吸収に、嫌気的な底泥がメタン放出に寄与する可能性がある。しかしながら、これらのガス収支を実測した研究例はなく、放出量削減に向けた制御要因の解明が必要である。
自然界の湖沼と比較して、ため池は生活圏に密接して存在し、人為的な要因によって水質、貯水量が変化しやすいという特徴がある。例えば、集水域の土地利用の違いが池に供給される栄養塩、炭素の量や質に影響し、その結果、二酸化炭素収支を左右すると考えられる。また、メタンは重要な温室効果ガスであるが、ため池低層では嫌気的環境が形成され、特に高温期には強力なメタン放出源となっていると考えられる。そして、人為的な水位調整は池内の嫌気的エリアを変化させ、メタン放出量に影響する可能性がある。
本研究では、農地・森林をため池の水供給源とする特徴的な池群を対象とし、渦相関法による水面と大気間のエネルギー・二酸化炭素・メタン交換量の観測、気象・池内環境の観測、窒素・リン・炭素に関する水質分析を行う。ため池での水質形成プロセスが池の栄養状態の変化や藻類の増減を通じてメタン放出量、二酸化炭素排出・吸収量に与える影響の解明を目指す。
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2023年8月26日作成