研究課題
ゼロ・エミッションを目指した昆虫および植物性食資源由来の未利用バイオマスの高機能化
Enhancing technological functionality of unutilized biomass from edible bugs and plants toward zero-emission
研究組織
代表者 | 松宮健太郎(京都大学大学院農学研究科) |
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共同研究者 | 阿部賢太郎(京都大学生存圏研究所) 矢野浩之(京都大学生存圏研究所) 松村康生(京都大学生存圏研究所) |
関連ミッション |
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研究概要
FAOによると、2030年にも世界でタンパク質危機が発生することが見込まれている。現在欧米を中心に家畜動物よりも生産時の環境負荷が低い昆虫や植物などのタンパク質源が盛んに研究開発され、社会実装も始まっているものの、産業の大規模化が進むと、昆虫の外骨格や植物の繊維質部分が用途のない副産物として大量に生じることが予想される。繊維質はこれまでのところ食品としての利用性は低いことから、これらに対して食品加工時の構造形成性などの有用な機能性を賦与することにより、環境問題と人類の健康維持に必要な課題を包括的に解決することが可能である。
新規タンパク質源としてコオロギやバッタなどの昆虫素材を供試するとともに、植物性素材としてダイズなどを使用する(図1)。これらから物理的分画または化学的抽出によりタンパク質を分離した後、繊維性のキチン質やセルロース、あるいはペクチンからなる副産物を得る。物理的な分画としては外骨格の剥離や粉砕後の篩過処理を施し、化学的抽出としては希アルカリ処理を行う。このようにして得られた副産物を林産学的手法によって物理的に微細化することにより、物理的に改変した素材を創出する。
図1:カイコの蛹粉末
創出された材料はさまざまな食品素材に加えて食品科学的にその加工機能性を評価する。加工機能性は構造形成能であるところの増粘性やゲル化性を種々の生化学的条件下で基礎的に調べることを中心として、実際の系に近い澱粉性食品モデルの構造安定化能も検討する(図2)。
図2:ゲル化のイメージ
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2021年8月23日作成