研究課題
不飽和土壌中のコロイド粒子挙動に関する研究
研究組織
代表者 | 濱本昌一郎(東京大学大学院農学生命科学研究科) |
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共同研究者 | 上田義勝(京都大学生存圏研究所) |
関連ミッション |
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研究概要
土壌中では,粘土粒子などナノ・マイクロスケールの微粒子が存在している.これらコロイド微粒子は表面活性が高いため、汚染物質を吸着し輸送担体として汚染物質の輸送促進に寄与する。土壌内の汚染物質の移動性評価を行う上で、コロイド粒子およびコロイド粒子担体汚染物質挙動の理解は重要である。土壌空気の存在は、コロイド粒子の移動場となる水道を変化させ、気液界面でのコロイド粒子の沈着・捕捉に寄与する。しかし、気液界面での荷電特性およびコロイド粒子との相互作用力については、学術的に十分理解されていない。本研究では、気液界面が存在する不飽和土壌内でのコロイド粒子挙動を明らかにすることを目的とする。土壌充填カラムを用いたコロイド粒子の流出挙動把握に加え、マイクロ流路や原子間力顕微鏡を活用し、様々な環境条件の下で気液界面近傍でのコロイド粒子挙動の実態を把握する。
本研究で扱うコロイド粒子として、粒径および帯電量が既知なラテックス粒子と土壌試料から抽出した土壌コロイドを用いる。土壌試料は、模擬多孔質体としてガラスビーズおよび石英砂に加え、土壌物理・化学量を把握している火山灰土(ローム質土:東京都)と褐色森林土(砂質土・愛知県)を用いる。また、汚染物質として重金属(CdおよびPb)を用いる。間隙スケールでのコロイド粒子挙動の解明に向けて、多孔質体を模擬したマイクロ流路を用いて、流動下のコロイド粒子を顕微鏡ビデオ撮影し、コロイドの移動速度、固液・気液界面での沈着量や目詰まりの空間分布を把握する。また、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて固液・気液界面での電荷密度の不均一性やコロイド粒子との相互作用力を把握する。これらの実験は、異なるpH、塩濃度、イオン種といった異なる水質条件で実施し、環境条件が界面近傍でのコロイド挙動に与える影響を系統的に把握する。土壌中のコロイド粒子および汚染物質挙動の解明に向けて、模擬汚染土壌カラムへのコロイド粒子注入実験を行う.異なる環境条件で土壌からのコロイド粒子・汚染物質流出特性を調べ,間隙構造パラメータを考慮した物質移動パラメータ(分散係数,捕捉係数など)の予測モデルを提案する。最後に、室内実験で得られた成果を統合し、「コロイド粒子およびコロイド粒子担体汚染物質の地盤内移動モデルの構築」を行なう。日本大学キャンパス内でコロイド粒子注入実験を行い,現場スケールでのコロイド粒子の挙動解析への適用を試みる.また、実際の重金属汚染土壌(射撃場鉛汚染土壌)を対象にモデル適用を試み、汚染サイトならびにその周辺の環境影響評価(汚染領域の広がりや進行速度の推定)を行う。
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2021年8月5日作成