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2020(令和2) 年度 生存圏科学 ミッション研究 3

更新日: 2020/08/04

研究課題

木本植物セルロース合成酵素のタンパク質解析基盤構築

研究組織

 代表者 今井友也(京都大学生存圏研究所)
 共同研究者 近藤辰哉(京都大学生存圏研究所)
八田雄貴(京都大学生存圏研究所)
関連ミッション
  • ミッション2 太陽エネルギー変換・高度利用
  • ミッション4 循環材料・環境共生システム

研究概要

セルロースは今後の持続可能社会構築のために活用しなければならない再生可能な天然材料資源である。この軽くて高強度、かつ耐久性と生分解性のバランスの取れた優秀な材料を形成する分子実体がセルロース合成酵素である。多くのセルロース生産性生物がそれぞれのメカニズムでセルロースを合成している。

セルロース合成酵素によるセルロース生合成の本質は常温常圧水系溶媒下での高分子の集積制御であり、極めて高度なタンパク質機能である(図1)。申請者はこのメカニズム解明を目指した研究を、バクテリアをモデルとして2010年前後から進めつつある。また海外のグループからもそのような指向の研究が報告され始めている。

一方植物のセルロース合成酵素の研究は分子細胞生物学研究がずっと先行しており、タンパク質科学的な研究は遅れている。しかし最近、ポプラのセルロース合成酵素CesAタンパク質の三次元構造解析が報告され、三量体構造をもつことが明らかにされた。一方でポプラのセルロース合成酵素CesAタンパク質の酵素活性を試験管内再構成した報告がなされたが、その酵素活性は極めて低く(我々の系の1 %程度)、セルロース合成酵素の持つ高分子集積機構の解明に至る道筋はついていない。したがってセルロース合成酵素の持つ高分子構造制御機構を一般的に理解するには課題が山積している。

そこでセルロース合成機構を解明する研究を植物系で行うための基盤構築を目的として、本申請では針葉樹のCesAタンパク質の研究基盤構築を行う。バクテリアから植物にわたる多様な生物でセルロース合成機構を理解することは、地球上で数億年の持続的生存をなしとげた生物能力の本質を理解することであり、生存圏科学の重要な課題である。

今井友也: 2020(令和2)年度生存圏ミッション研究 図図1 酵素による繊維構造形成(生物紡糸・上段)と高分子繊維の工業生産で汎用される溶融紡糸(下段)の対比
セルロース合成酵素の結晶化機構が超絶な高分子制御であることは明らかである

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2020年8月4日作成

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