研究課題
機械学習を用いた光学用ガラス材料の開発
研究組織
代表者 | 徳田陽明(滋賀大学教育学部) |
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共同研究者 | 上田義勝(京都大学生存圏研究所) Daniel Packwood(京都大学物質-細胞統合システム拠点) |
関連ミッション |
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研究概要
ガラス材料はスマートフォンやドローンなど、あらゆる小型機器のカメラレンズ等で使用されているが、小型化に応じて軽量化や、光学特性に優れた材料開発が求められている。より光学機器をコンパクトにして鮮明な像を映し出すためには、高屈折率低分散性を持つガラス材料が必要である。従来、ガラスの高機能化は、作製と物性評価を繰り返すトライ&エラーによって行われてきた。しかし、組成範囲が広範であることやガラスが複雑系材料であることから、人間の直感のみに頼る方法では限界がある。そのため、予め想定しなかった機能性を示すガラスを得るためには、新しい考え方に基づく合成法が必要となる。
本研究の目的は、ガラスのビッグデータを機械学習することで経験のみでは見つけられない組成と物性の相関を見出し、この知見から光学用の新しいガラス材料群を創製することである。研究の方法としては、以下の6つの過程が挙げられる。(1)ビッグデータから種々の物性値を抽出する。(2)ビッグデータの機械学習を行って、(3)教師あり学習による組成と物性の相関を学習する。(4)所定の物性値を与える材料組成をベイズ推定する。(5)ガラスを合成して物性値を得て、値を再利用して予測性能の向上を図る。(6)得られた手法を活用し、新しい材料群を創製する。
生存圏科学と関わりについてまとめる。現在われわれの研究グループでは、福島での復興支援研究にて環境放射線計測のリアルタイム測定試験を行っている。環境放射能の計測は生活圏の安全性確保に必須の研究であるが、今後はそれと連携して、現地にてドローンや光学測定による地理的補正も検討している。機械学習により、新たな小型軽量のガラス材料を開発していく事は、これら光学系の観測網を発展させる一助となる。また、同様に応用利用として、将来の宇宙環境利用のための高耐久ガラス材料の開発にも利用が期待される応用研究となり得る。
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2019年7月31日作成