研究課題
インドネシア産ウリン材の資源の持続性に関する調査および端材の有効利用が資源のライフサイクルに与える影響の評価
研究組織
代表者 | 渕上佑樹(三重大学大学院) |
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共同研究者 | 金山公三(京都大学生存圏研究所) 梅村研二(京都大学生存圏研究所) 田中聡一(京都大学生存圏研究所) 古田裕三(京都府立大学大学院生命環境科学研究科) 神代圭輔(京都府立大学大学院生命環境科学研究科) 渕上ゆかり(大阪大学未来戦略機構) 林田元宏(株式会社林田順平商店) 奥村哲也(株式会社林田順平商店) 溝口正(株式会社日本木材) |
関連ミッション |
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研究概要
熱帯雨林の保護または持続可能な利用は地球温暖化の防止、エコシステムの保全、ひいては人類の生存にとって重要であり、これを脅かす木材の違法伐採問題への対応は喫緊の課題である。日本が輸入している違法リスクの高い木材製品のうち、インドネシア産の製品は最も多くの割合を占めており(2013年値)(籾井, 2014)、インドネシアからの輸入製品への対応が最重要であるといえる。インドネシア政府はこの問題に対して、2013年からインドネシア木材合法証明(SVLK: Standard Verifikasi Legalitas Kayu)によって輸出する木材製品の合法性を担保しているが、市場における違法リスクに対する疑念は払拭できていないのが現状である。日本では2017年5月から合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律(クリーンウッド法)が施行されるなど、合法木材の利用が急速に推進されており、インドネシア産木材の合法性について最新かつ正確な知見を得ること、また、法的に遵守すべき最低ラインである合法性の確認に留まらず、資源の持続性の担保まで行うことが熱帯雨林の保護・保全および公正な木材市場形成の観点から重要である。
そこで申請者らは昨年度、本研究事業による現地調査を実施し、日本向け輸出木材のうちエクステリア用途として需要が大きい樹種であるウリンを対象にSVLKのシステムを中心にトレーサビリティの確認を行った。その結果、①輸出向けのウリンの合法性はSVLKによって担保できている、②インドネシア国内向けのウリンはSVLKのシステムの適用範囲外であり違法リスクがある、③2017年1月からSVLKの内容が更新され不正防止機能の強化・対象範囲の拡大が期待される、④ウリンの伐採対象地は「生産転換林(Convertible Production Forest)」であるため資源の持続性は担保されない、⑤非効率的な製材により大量の端材が発生している、などの実態を明らかにした。本研究では、昨年度の成果をもとに、内容更新後のSVLKの実施状況の確認、資源の持続性を担保するための実現可能な手法の検討および端材の有効利用が資源のライフサイクルに与える影響について評価を行うことで、インドネシア産ウリン材の合法性・持続性についてより総合的な観点からの考察と定量的な評価を行う。
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2017年8月3日作成