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2014(平成26) 年度 生存圏科学 ミッション研究 8

更新日: 2017/09/19

研究課題

波動粒子相互作用を衛星機上で定量的に計測・解析するアルゴリズムに関する研究

研究組織

 代表者 小嶋浩嗣 (京都大学生存圏研究所)
 共同研究者 充 (名古屋大学太陽地球環境研究所)
関連ミッション
  • ミッション 3 (宇宙環境・利用)

研究概要

宇宙圏の電磁環境を決定する大きな要因は、波動粒子相互作用である。これは宇宙空間プラズマが無衝突であるため、プラズマ波動が粒子どうしのエネルギー交換の媒体となるからである。しかし、これまで波動粒子相互作用を衛星で観測し、それを定量的に評価することは不可能であった。それは、プラズマ波動と粒子がエネルギー授受を行う方向と大きさは、プラズマ波動の電界ベクトルと粒子の速度ベクトルのスカラー積で表されるにも関わらず、これまでの観測データは、両者のベクトルの位相差情報を失った状態で取得されてきたからである。我々は、この問題点を解決するために、新しい観測手法「波動粒子相互作用解析装置(WPIA: Wave-Particle Interaction Analyzer)」を考案した。衛星の機上で、波動電界ベクトルと粒子速度ベクトルの位相差情報を保証しながら解析を行う WPIA は、実際には、プラズマ波動と粒子一つ一つの観測データを衛星機上で保管するストレージと、そこからデータを読み取り、計算を行うために衛星機上にインストールされる CPU およびソフトウェアから成り、その性能はソフトウェアで実現する計算アルゴリズムに大きく依存している。

本研究では、このWPIAを実現するためのアルゴリズムを、衛星に搭載されるシステムと等価なハードウェアを用いながら開発することを目的とする。この WPIA の手法は世界的にも初めてであり、実際の宇宙観測でどれくらいの成功を収めることができるかは、高度なアルゴリズムをどこまで実現できるかにかかっている。一方、波動と粒子の間のエネルギー授受を WPIA の手法で確実に捉えることが出来るようになれば、人類が宇宙空間を利用していく際の宇宙電磁環境変化に対する定量的な評価を得られるようになり、具体的な物理現象の解明にとどまらず、環境変化を定量的に評価・予測するための重要な情報を得られるようになる。

小嶋浩嗣: 2014(平成26)年度 生存圏ミッション研究図: 実際の衛星システムと等価の開発システム

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2014年7月15日作成

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