研究課題
熱帯バイオマス生産における生物多様性確保と持続的生産・利用に向けた基盤構築
研究組織
代表者 | 梅澤俊明 (京都大学生存圏研究所) |
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共同研究者 | 鈴木史朗 (京都大学生存圏研究所) 山村正臣 (京都大学生存圏研究所) 柴田大輔 (かずさDNA研究所) 我有満 (九州沖縄農業研究センター) 上床修弘 (九州沖縄農業研究センター) |
関連ミッション |
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研究概要
熱帯地域における持続的な大規模産業造林は、持続的な植物バイオマス資源の生産基盤として、我が国の資源確保や熱帯地域住民の経済活動・福祉に大きく貢献する。その一方で、遺伝的多様性に乏しい限られた系統の連続的植林に伴う「生産の問題」、土壌栄養分の短期収奪に関する「持続性の問題」、地域住民の生活保証や経済振興といった「社会問題」、木質資源の効率的な材料変換やエネルギー変換および天然有機化合物資源としての活用法の開発に関わる「利用の問題」、など生存圏全体に関わる様々な課題が存在している。とりわけ近年、アカシア産業造林地において樹病の頻発など、生産の持続性に関わる問題が顕在化しており、生産における多様性と持続性の担保がいっそう重要となっている。これらの課題の解決には、従来の技術では不十分であり、関連学術基盤の深化に基づく圧倒的な技術革新が必須である。すなわち、熱帯産業造林は、わが国の針葉樹林業が数百年の実績とノウハウの蓄積の上に成り立っていることに比べ、わずか 20 年程度の実績しかなく、植林サイクルがやっと 3~4 回目に差し掛かったところで、樹病の発生など持続性の問題が急速に顕在化してきているのが実態である。今後持続性の確保に向け、アグロフォレストリーを含めた多様なバイオマス生産系の確立、植栽樹種の多様性の増大、耐病性個体の育種・選抜、熱帯天然林の更なる伐採を伴わない樹木や病害抵抗性且つ高生産性のイネ科バイオマス植物の増産など、持続的生産・利用と周辺地域の環境保全に向けた技術革新などが求められる。
そこで、本研究では、近年顕在化してきたアカシア産業造林地における持続性に関わる問題に対処するため、多様な草本バイオマス植物とアカシアの混植による多様性の確保を目指し、多様且つ病害抵抗性のイネ科熱帯バイオマス植物の育種と持続的生産と成分利用に関する基盤情報の蓄積を図る。
本研究の特色は、本研究が、生存圏研究所を挙げて取り組むフラッグシッププロジェクト「熱帯人工林の持続的生産利用に関する多角総合的共同研究」の中心課題の一つであることである。このフラッグシッププロジェクト「熱帯人工林の持続的生産利用に関する多角総合的共同研究」は、生存圏科学の中心課題の一つであり、単なる環境保全・修復研究にとどまらず、人類が生存を続けるために必須の、多様性・環境保全と経済性の高次の妥協点を探るものである。本研究は、この「環境保全と経済性の高次の妥協点」を達成することを最終目標とするものであり、生存圏科学の重要な一部分を分担するものである。
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2014年8月8日作成