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2013(平成25) 年度 生存圏科学 ミッション研究 24

更新日: 2017/09/20

研究課題

バイオマス高度利用のための新規リグニン・糖間結合分解酵素に関する国際共同研究

研究組織

 代表者 渡辺隆司 (京都大学生存圏研究所)
 共同研究者 西村裕志 (京都大学生存圏研究所)
亮 (京都大学生存圏研究所)
片平正人 (京都大学エネルギー理工学研究所)
Gunnar Westman (Chalmers工科大学化学生物工学科)
Lisbeth Olsson (Chalmers工科大学化学生物工学科)
Hampus Sunner (Chalmers工科大学化学生物工学科)
Filip Nylander (Chalmers工科大学化学生物工学科)
関連ミッション
  • ミッション 2 (太陽エネルギー変換・利用)
  • ミッション 4 (循環型資源・材料開発)

研究概要

地球温暖化と化石資源の枯渇問題を背景として、バイオマスから燃料アルコールや化学品などを作り出すバイオリファイナリーの構築が緊急性の高い問題として注目を集めている。とりわけ、食糧と直接競合しない木質バイオマスを持続的に利用して、バイオ燃料や高付加価値物を同時生産することは、炭素循環に大きな負荷をかけない持続的な生存圏の創成、環境と調和した経済振興にとって極めて重要である。しかしながら、植物細胞壁の多糖は、芳香族高分子であるリグニンに被覆されており、変換のための成分分離を高効率で行うことは容易ではない。これまで、バイオエタノールや化学品を作るために、木材などの組織からリグニンと多糖類を分離する成分分離法が研究されてきた。植物細胞壁中で、リグニンはヘミセルロースと共有結合してリグニン・多糖複合体(LCC)を形成し、細胞壁のリジッドな構造の形成に大きく寄与している。バイオマス変換において、このリグニン・糖間結合の切断を高効率で行えれば、主要 3 成分の分離効率は大きく上昇すると期待される。しかしながら、実際の植物由来の LCC を分解する酵素は見出されていない。本研究では、リグニン・糖間結合を直接切断する酵素に着目し、エステル型の LCC モデルを分解する酵素の反応特性を詳細に解析するとともに、実際の植物細胞壁成分と反応させて起こる構造変化を、超高感度のクライオ NMR を用いて解析する。これにより、リグニン・糖結合体を解体する生体触媒の特性を解明し、新しい成分分離法につなげたい。この研究は、バイオマスからの燃料アルコールや化学品製造への展開につながるのみでなく、細胞壁中のリグニン・糖間結合の構造解析に酵素の特異性を利用する新分野の開拓にも寄与する。

渡辺隆司: 2013(平成25)年度 生存圏ミッション研究

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2013年8月5日作成

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