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2013(平成25) 年度 生存圏科学 ミッション研究 13

更新日: 2017/09/20

研究課題

局地循環に伴う小スケール大気乱流の生成機構解明

研究組織

 代表者 中城智之 (福井工業大学電気電子情報工学科)
 共同研究者 山本真之 (京都大学生存圏研究所)
橋口浩之 (京都大学生存圏研究所)
関連ミッション
  • ミッション 1 (環境計測・地球再生)

研究概要

近年,「ゲリラ豪雨」と呼ばれる局所的豪雨の発生頻度が増加しており,私たちの生活を脅かしている。局所的豪雨の被害を軽減する一つの手段として,豪雨発生の予測技術の向上が望まれているが,大気境界層における大気運動の実態が未解明のため,有効な技術の開発に至っていない。ウィンドプロファイラレーダー(Wind Profiler Radar; WPR)は,大気境界層観測の有力な観測手段の一つであるが,従来の WPR 観測では,高度および時間方向の分解能が不足しており,雲の発生において重要な鉛直方向の大気運動の実態を解像できなかった。しかし,近年,山本・橋口によってレンジイメージング機能を導入した WPR が開発され,鉛直方向の大気運動にとって重要な小スケール大気乱流の実態解明が可能となってきている。

福井工業大学では,文部科学省・私立大学戦略的研究基盤形成支援事業「北陸地域の環境の計測と保全に関わる研究拠点形成」(平成 23–27 年度)において,北陸地域の沿岸部に設置された WPR が平成 24 年 12 月から観測を開始しており,降雨および降雪に関連する水平風速パターンの抽出に成功している。現在,鉛直方向の大気運動の詳細観測のため,山本・橋口の支援の下,レンジイメージング観測の実現に向けて準備が進められている。

本研究では,福井工業大学のWPRを用いた大気境界層のレンジイメージング観測により,北陸沿岸域における局地循環に伴う小スケール大気乱流の実態を解明し,その生成機構の解明を通して,豪雨発生と局地循環の関連性を調査することを目的とする。小スケール大気乱流を解像する手段として、高速サンプリングが可能な USRP を用いたレンジイメージング用ソフトウェア受信機を福井工業大学の WPR に付加する。また,局地循環の全貌を観測可能とするため,衛星データや各種の地上測器の観測データを用い,総合的な観測を行う(図)。

現在,レンジイメージングが可能な WPR は,日本では福井工業大学を含めて 5 か所にしか設置されていない(信楽 MU 観測所,NICT および気象庁 WINDAS ネットワークの福島,仙台局)。この中で,レンジイメージングの十分な実験観測が可能な局は福井工業大学,信楽MU観測所,NICT の 3 局のみであることに加えて,沿岸域に設置されているWPRは福井工業大学のみである。したがって,福井工業大学と京都大学の共同で実施される本研究は,大気境界層における小スケール大気乱流の実態解明において重要な役割を果たすと期待される。

中城智之: 2013(平成25)年度 生存圏ミッション研究図: 福井工業大学あわらキャンパスにおけるウィンドプロファイラレーダーを中心とした北陸沿岸域の大気境界層の総合観測

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2013年7月29日作成

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