研究課題
スギ木口スリット材の吸放湿機能の向上に関する技術
研究組織
代表者 | 川井秀一 (京都大学大学院総合生存学館) |
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共同研究者 | 矢野浩之 (京都大学生存圏研究所) 古田裕三 (京都府立大学生命環境科学研究科) 古谷真理子 (京都府立大学生命環境科学研究科) 三好由華 (京都府立大学生命環境科学研究科) 桐生智明 (京都府立大学生命環境科学研究科) |
関連ミッション |
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研究概要
我が国では林業・木材業界の活性化や、木材自給率の向上を目的として、「公共建築物等における木材利用促進法」が施行され、国が率先して木材の利用・普及を図っている。これに伴って、木材の利用促進に向けた研究の1つとして、木材の吸放湿性能に着目した研究が近年活発に行われている。その中で木材の吸放湿性能は板目面や柾目面に比べて、木口面において非常に高いことが明らかになっている。木口面の吸放湿特性を利用した調湿材料としてスギ板目面に溝を施した材料(以下、スギスリット材)が開発され、板目面材より吸放湿性能が向上することが示された。しかしながら、スリットを施すことによる吸放湿性能の向上は、木材木口面積の増加や溝加工を施した際の切削時の斜影面積が影響していると考えられているものの、吸放湿機構が発現するメカニズムについては詳細に検討されていない。そこで、本研究では、スギスリット材の吸放湿性能に影響を及ぼす因子を検討し、吸放湿性能の発現メカニズムについて明らかにすることで、最適な吸放湿性能を付与したスギスリット材の加工技術の開発、延いては再生可能な木材の利用促進に貢献することを目的としている。実験の概要・検討項目を以下に示す。実験は I、II の手順で行い、I と II の比較・検討を行う。
- スギスリット材の吸放湿性能の評価方法の検討
本研究における吸放湿性能の最適な評価方法(因子の異なる試料間で吸放湿性能の違いが明示される評価方法)を検討する。最適な評価方法として、湿度・温度の変化速度や変動幅をどのように変化させるかを検討する。 - 吸放湿性能に影響する因子の検討
吸放湿性能に影響を及ぼすと考えられる因子を振り分けたスリット材を作製する。- 木材に施すスリットの形状の検討
溝の深さや角度を変化させる(図 1)ことで吸放湿性能に大きく影響すると考えられる仮道管長や木口面の面積を検討する。 - 試料の乾燥温度の検討
乾燥様式の異なる(天然乾燥、人工乾燥(高温、低温))試料を作製し、吸放湿性能を発揮させるために適した乾燥方法を検討する。 - 吸放湿回数の検討
吸放湿過程の繰り返しによる吸放湿性能の変化を検討する。 - 心材・辺材及び比重の検討
様々な木取りの材を用いることで、心材率、辺材率および比重の異なる試料を作製し、吸放湿性能の変化を検討する。
- 木材に施すスリットの形状の検討
図 1 木材に施すスリットの形状及び木口面の仮道管断面形状の一例
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2013年7月29日作成