研究課題
化石資源代替材料創製に向けた木質バイオマスの選択液化
研究組織
代表者 | 本間千晶 (北海道立総合研究機構林産試験場) |
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共同研究者 | 畑俊充 (京都大学生存圏研究所) 渡辺隆司 (京都大学生存圏研究所) |
関連ミッション |
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研究概要
二酸化炭素の大量放出を続け地球温暖化が問題となっている現状において、低炭素社会実現に向けて未利用植物資材から化石資源代替となる化学品を生産することは急務である。一方、木質バイオマスの急速熱分解により、きわめて短時間で、粘性をもった液化物および熱分解残渣が得られることが知られている。本研究は、直パルス通電加熱による急速熱分解を適用し、木質バイオマスから得られた液化物、熱分解残渣を有用物質として活用することを目的とし、触媒種が、熱分解生成物、液化物組成に及ぼす影響、熱分解残渣性状の分析、機能化の検討を行う。熱分解条件とともに、触媒利用条件の最適化により、化学肥料、塗料、医薬品などの基本化学品を選択的に製造することが可能となる。さらに、液化物生産と同時に得られる熱分解残渣と触媒との複合物にも、処理条件毎に各々異なる機能を有することが期待される。
本研究では、触媒添加および触媒種の相違に伴う生成物組成への影響に着目し、触媒の利用による有用物質生成を目的として、木質バイオマス、未利用植物資材の、急速熱分解時の触媒利用条件が生成物、液化物組成に及ぼす影響とともに、同時に得られる熱分解残さと触媒の複合物について、性状分析、機能化の検討を行う。また、木質バイオマスから有用物質、特に、フェノール性成分、芳香族炭化水素をより高含量で得るための反応条件も検討する。
直パルス通電加熱を用いた選択液化技術による有用化学品生産への応用は、世界でも未開拓の分野である。循環型資源利用に向けた、収集が容易な未利用植物資材の活用、適用原料の拡大とともに、触媒反応の活用が選択液化技術の応用展開、化石資源代替材料開発に向け必要不可欠と考える。熱分解残渣と触媒の複合物に有用性が見いだされた場合、液化物、ガスのコスト低減が期待できるだけでなく、環境浄化資材、産業用資材等としての利用といった実用面での貢献や、炭素の隔離、地球温暖化防止といった環境面での貢献など様々な利点が考えられる。
Fig. 1. Aparatus and method for collection of pyrolysis products
Fig. 2. TEM image of pyrolysis residue (Sugi char)
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2012年7月31日作成