研究課題
アジアモンスーン森林湿地域における温室効果ガス吸収および放出機能の評価
研究組織
代表者 | 小杉緑子 (京都大学農学研究科) |
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共同研究者 | 高橋けんし (京都大学生存圏研究所) 安宅未央子 (京都大学農学研究科) 坂部綾香 (京都大学農学研究科) |
関連ミッション |
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研究概要
地球温暖化の克服に対し、森林は海洋とともに「地球の肺」としての機能を期待されている。社会一般に認識されている森林の「地球の肺」としての機能は、「森林は二酸化炭素やメタンを吸収してくれる」というイメージに代表されるが、このイメージと実際の森林生態系が大気との間で様々なガス態物質を交換する実態とは、時として大きく乖離している場合もある。森林は光合成により莫大な二酸化炭素のシンクであると同時に、生態系呼吸により莫大なソースでもあるため、生態系呼吸、中でも土壌圏における炭素蓄積・放出と環境要因との複雑な関係を知ることが森林機能評価のためには欠かすことが出来ない。また森林はメタンの吸収源と見積もられているが、アジアモンスーン森林、熱帯泥炭森林、タイガ林などの森林生態系内に湿地域が内在する森林においては、放出源となる可能性も指摘されている。しかし実測に基づいた評価例は非常に少なく、単純な予測式に基づいた不確定な数値計算が先行しているのが現状である。
特にアジアモンスーン森林においては、小規模湿地などのライパリアンゾーンが点在し、このことが森林域内の環境を複雑にしており、高温期と多雨期が重なるアジアモンスーン特有の気候と相まって、CO2 や CH4 など温室効果ガスの吸収・放出機能について欧米諸国の森林とは一風違う挙動をとると考えられる。
本研究は、アジアモンスーン森林湿地域の土壌圏において、CO2 および CH4 の吸収および放出速度を、自動開閉チャンバー法によって連続測定することにより、湿地域土壌圏の環境変動が温室効果ガスの吸収・放出機能にどのような影響を与えるかを詳細に評価するものである。
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2012年8月1日作成