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2011(平成23) 年度 生存圏科学 ミッション研究 19

更新日: 2017/09/20

研究課題

選択液化による未利用植物資材の機能化

研究組織

 代表者 本間千晶 (北海道立総合研究機構林産試験場)
 共同研究者 俊充 (京都大学生存圏研究所)
渡辺隆司 (京都大学生存圏研究所)
関連ミッション
  • ミッション 2 (太陽エネルギー変換・利用)
  • ミッション 4 (循環型資源・材料開発)

研究概要

化石資源の使用を抑え、二酸化炭素の排出問題の解決に向けて、2050 年までに世界全体で CO2 排出量の半減が求められている。低炭素社会実現に向けて、木質バイオマスから有用な基本化学品を開発することは必須である。平成 22 年度生存圏ミッション研究において、直パルス通電加熱による急速熱分解技術を用いた、木質バイオマスの選択液化について、化学構造、アンモニア吸着能、触媒添加が液化物組成、熱分解残渣性状に及ぼす影響等が報告されている。本研究では、直パルス通電加熱による急速熱分解を適用し、選択液化技術の応用展開、適用原料の拡大を目的とし、セルロース、リグニンといった木質バイオマスの主要成分および、もみ殻等未利用植物資材の急速熱分解条件が生成物、液化物組成に及ぼす影響、熱分解残さ性状の分析、機能化の検討を行う。また、木質バイオマスから有用物質、特に、フェノール性成分、芳香族炭化水素をより高含量で得るための熱分解条件を見出すとともに、同時に得られる熱分解残渣については特にその化学構造、化学的性質を活用することによる機能発現について検討する。

本研究で検討する熱分解液化においては、条件の最適化により、化学肥料、塗料、医薬品などの基本化学品を選択的に製造することが可能となる。一方、液化物生産と同時に得られる熱分解残渣は、木質熱処理物・炭化物と同様に処理条件毎に各々異なる機能を有することが期待される。例えば、多量の酸性官能基を有する材料では、塩基性ガス吸着材、イオン交換材料としての用途が期待できる。

直パルス通電加熱を用いた選択液化技術による有用化学品生産への応用は、世界でも未開拓の分野であり、セルロース、リグニンといった木質バイオマスの主要成分による熱分解機構の解明とともに、適用原料の拡大や、収集が容易な未利用植物資材の活用が、選択液化技術の応用展開に向け必要不可欠と考える。熱分解残渣に有用性が見いだされた場合、液化物、ガスのコスト低減が期待できるだけでなく、環境浄化資材、産業用資材等としての利用や、土壌改良資材として、農業用、林業用に循環利用、土壌中に貯留することによる、炭素の隔離、地球温暖化防止への貢献など様々な利点が考えられる。

本間千晶: 2011(平成23)年度 生存圏ミッション研究 図 1図 1 直パルス通電加熱装置の模式図

本間千晶: 2011(平成23)年度 生存圏ミッション研究 図 2図 2 急速熱分解処理と液化物、生成ガス熱分解残渣回収方法の概要

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2011年8月3日作成

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