研究課題
地上および衛星データを用いた熱帯植林地のバイオマス生長量の動態評価ならびに樹木成長に及ぼす気象要素の影響に関する研究
研究組織
代表者 | 川井秀一 (京都大学生存圏研究所) |
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共同研究者 | R. Widyorini (Gadjah Mada Univ.) EB. Hardiyanto (Gadjah Mada Univ.) B. Subiyanto (LIPI) A. Firmanti (Res. Inst. for Human Settlements) 大村善治 (京都大学生存圏研究所) 甲山治 (京都大学東南アジア研究所) 渡邊一生 (京都大学東南アジア研究所) 小林祥子 (立命館アジア太平洋大学) 塩谷雅人 (京都大学生存圏研究所) 山根悠介 (常葉学園大学教育学部) |
関連ミッション |
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研究概要
1) 地上観測データの収集拡充と解析
南スマトラに位置する MHP 社の約 10,000 ha (ユニット V)における地表ランダムサンプル区域の樹木生長量のデータについて、これまでのデータを拡大(2000–2009)して地上データの充実とバイオマス成長量に関する時系列解析を行い、バイオマスストックの動態を評価する。さらに、伐採/排出に関わるフローの解析を実施し、ストックとフローを合わせて早生樹種の植林に関わる持続性評価を行う。写真 1 は調査対象地域のバイオマスストックの年毎の変化を示している。
このような熱帯域の植林地の特徴をより明解に位置づけるために、種々の熱帯域の植生、たとえば農業開発区のアブラヤシ林、ゴム林、植林区のアカシア林、2 次および原生林、さらには草地/荒廃地等のバイオマス現存量の調査し、バイオマスストック(バイオマス賦存量)とフロー(木材生産量)の持続性を評価したい。
写真 1 調査対象地域のバイオマスストックの年毎の変化(2003–2010)
2) 衛星データによる森林バイオマスの広域解析
リモートセンシング技術を応用して衛星データに関連づける手法開発に取り組む。熱帯域においては大気水蒸気量・雲被覆の影響を受けにくいマイクロ波を用いた衛星リモートセンシングが有効であると考えられるが、現状の技術レベルではまだ十分な精度が得られていない。
対象地はスマトラ南部丘陵林におけるアカシア植林地(MHP 社)であり、すでに充実した地上観測データのある地域の森林バイオマスについて衛星データの解析、手法の検証を実施することによって、衛星リモートセンシングの技術開発を行う。この技術開発を基に MHP 社の植林地全体(12万 ha)の広域にわたる空間を対象に、時間スケールを広げた解析が可能になる。
3) 大規模植林地における気象観測
2005 年よりインドネシアスマトラ島の MHP 社のアカシア大規模造林地(総植林面積約 12 万 ha)に合計 8 地点の気象観測点を設置して雨量、気温、日射量、相対湿度等の観測を継続し、造林地における熱帯人工林の大気環境の把握に努めている。本研究ではこれらの地点における気象観測を継続してデータの蓄積を図ると共に、気温や降雨量の年々変動を解析し、たとえば、エルニーニョ/ラニーニャなどの極端な降雨量が観測された年の樹木成長量に着目して、森林バイオマス成長量と気象要素との関係について詳細な検討を行う。
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2011年8月3日作成