研究課題
酸性雨モニタリング用環境評価指標植物のイオウ標準の作成
研究組織
代表者 | 伊藤嘉昭 (京都大学化学研究所) |
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共同研究者 | 杉山暁史 (京都大学生存圏研究所) 矢﨑一史 (京都大学生存圏研究所) 福島整 (物質材料研究機構(物理化学)) |
関連ミッション |
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研究概要
植物体内の無機イオウは、生育環境に応じて 2 価から 6 価まで状態が変化し、グルタチオンなど有機化合物内のイオウもジスルフィド結合(S-S 結合)の形成により状態が変化する。本課題では、植物に吸収された酸性雨に関する環境植物指標になる S に対し、1 結晶及び 2 結晶分光法により精密な分光測定を行って、サンプリング後(生体中の代謝が行われなくなる状況下)での植物体内の S 化学状態の変化を把握することを目的とする。これにより、酸性雨の影響等の環境評価を行うための基礎データを把握し、実用的な分析を可能とする。化学状態変化による環境評価法の確立は、国内外において前例のないユニークな研究トピックである。近い将来我々は、植物や土壌の X 線分光法による元素及び状態分析を行うことで、酸性雨による植物の地域分布や季節的変化を調査し、次世代への影響の評価における実用的な手法として確立したいと考えている。
下図には、S の状態分析の 1 例を示す。たばこの葉における健康体とウイルスに侵されたものの S の状態分析である。このように非常に明白に S の電子状態に差が現われる。
図.煙草の葉の S Kα12 スペクトル。(a)健康体、(b)ウイルス感染後
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2011年8月5日作成