研究課題
超高感度二次元NMRによるバイオマス全成分解析法の開発
研究組織
代表者 | 片平正人 (京都大学エネルギー理工学研究所) |
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共同研究者 | 渡辺隆司 (京都大学生存圏研究所) 小瀧努 (京都大学エネルギー理工学研究所) 西村裕志 (京都大学生存圏研究所) 吉岡康一 (京都大学生存圏研究所) |
関連ミッション |
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研究概要
化石資源の消費量を減らし、持続可能な社会を構築するために、木質バイオマスを変換・利用してバイオエネルギーや化成品を高効率で生産することが注目を集めている。木質バイオマスはセルロース、ヘミセルロース及びリグニンを主成分とするが、木材組織の中でこれらの構成物質がいかなる分子構造をとっているかを正確に把握することはできていない。木質バイオマスは固体である為、これまでは固体 NMR 法が解析に用いられてきたが、固体 NMR 法は分解能が低い為、多様な有用物質の化学構造の詳細を決定する事は不可能であった。
本研究では第一に木質バイオマス中の有用物質の解析に溶液 NMR 法を適用する事を目指し、測定試料調製法の確立を行う。具体的には良好な溶液 NMR のスペクトルを取得する為には、ボールミルした木質バイオマスをどのような溶媒系に溶かすのが最良なのかを、網羅的に調べる。良好なスペクトルを得る条件が確立したら、第二に木質バイオマス中の多様な有用物質の化学構造(分子構造)を、溶液 NMR スペクトルに基づいて決定する。第三に針葉樹と広葉樹、北方系樹木と南方系樹木等の比較を行い、有用物質の化学構造や量比に差があるのかの分析を行う。第四に腐朽菌による木質バイオマスの腐朽において、セルロース、ヘミセルロース及びリグニンの化学構造・量比がどのように変化するのかを溶液 NMR 法によって追跡し、3 つの主成分の動態解析を行う。以上四点の研究によって木質バイオマス中の有用物質の化学構造を決定する手法を確立し、次にその手法を応用してどのような化学構造の物質が、どのような量比で存在し、それが腐朽のプロセスにおいてどのように経時変化するのかを明らかにする。これによって木質バイオマスの有効活用に向けた基盤を得る。
超高感度検出器を装着した NMR 装置
ブナの 1H-13C NMR HSQC スペクトル
渡辺研究室で試料調製
広葉樹特有の有用物質のピークが見られる
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2010年7月31日作成
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2010年7月30日作成