研究課題
心材ノルリグナン類の生合成遺伝子の同定
研究組織
代表者 | 山村正臣(徳島大学大学院社会産業理工学研究部) |
---|---|
共同研究者 | 梅澤俊明(京都大学生存圏研究所) 服部武文(徳島大学大学院社会産業理工学研究部) 飛松裕基(京都大学生存圏研究所) |
関連ミッション |
|
研究概要
ノルリグナンはC6-C5-C6の炭素骨格を持つフェノール性化合物群の総称である。本化合物群はヒノキ科やスギ科などの針葉樹の特に心材部で多く見出されており、数種の単子葉植物においてもノルリグナンを産生するものが知られている。ノルリグナンはエストロゲン様活性などヒトに対する生理活性を有する一方で、抗菌活性を有することも知られており、針葉樹心材部に特異的に多量蓄積することで樹木内部の芯腐れ防止に貢献している。また、ある種のノルリグナンがスギやヒノキの心材色の原因物質であることも知られている。
ノルリグナンが特異的に心材に蓄積することやその生合成が心材形成の時期と連動していることから、ノルリグナン生合成機構の解明が心材形成機構解明の緒となると期待されているが、これまでに心材ノルリグナンの生合成遺伝子は全く同定されていない。樹木特有の現象である心材形成の研究は、学術的観点のみならず木材利用や大気中のCO2固定の観点からも重要であり、ひいてはヒトの生存環境の構築に対して密接に関わっている。
上記の点をもとに、心材ノルリグナン生合成を解明するため、まずは当該の生合成経路の初発物質である (E)-ヒノキレジノールの合成酵素遺伝子の同定を目指す。本遺伝子の同定およびノルリグナン生合成機構の解明は、将来的にスギ黒心問題の解消、高抗菌性材を産生する針葉樹の創出及び育種、合成生物学を利用した抗菌物質の生産、心材形成に関わる知見を得ることにつながると期待される。
ページ先頭へもどる
2022年10月28日作成