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2022(令和4) 年度 生存圏科学 共同研究 12

更新日: 2022/11/02

研究課題

マイクロ間隙流路を用いたコロイド粒子挙動に関する研究

研究組織

 代表者 濱本昌一郎(東京大学大学院農学生命科学研究科)
 共同研究者 上田義勝(京都大学生存圏研究所)
関連ミッション
  • ミッション1 環境診断・循環機能制御

研究概要

土壌中では,粘土粒子などナノ・マイクロスケールの微粒子が存在している。これらコロイド微粒子は表面活性が高いため、汚染物質を吸着し輸送担体として汚染物質の輸送促進に寄与する。土壌内の汚染物質の移動性評価を行う上で、コロイド粒子およびコロイド粒子担体汚染物質挙動の理解は重要である。土壌空気の存在は、コロイド粒子の移動場となる水道を変化させ、気液界面でのコロイド粒子の沈着・捕捉に寄与する。しかし、気液界面近傍でのコロイド沈着・脱離挙動を直接観察した研究例は少なく、気液界面での荷電特性およびコロイド粒子との相互作用力や、コロイド懸濁液の化学性がコロイド挙動に与える影響については、学術的に十分理解されていない。本研究では、マイクロ間隙流路を用いて気液界面近傍でのコロイド粒子挙動を明らかにすることを目的とする。

本研究で扱うコロイド粒子として、粒径および帯電量が既知なラテックス粒子と土壌試料から抽出した土壌コロイドを用いる。マイクロ間隙流路(ガラス基板)は、砂質土壌内でのコロイド挙動を想定し、流路幅1.4 mm、深さ0.05 mmで、流路内に0.2 mmの柱をランダムに配置した構成である。多孔質体を模擬したマイクロ流路を用いて、流動下のコロイド粒子を顕微鏡ビデオ撮影し、コロイドの移動速度、固液・気液界面での沈着量や目詰まりの空間分布を把握する。さらに、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて固液・気液界面での電荷密度の不均一性やコロイド粒子との相互作用力を把握する。コロイド懸濁液のイオン濃度、イオン種、pHなどの化学的条件に加え、コロイド粒子の粒径や濃度を変化させた条件で実験を行い、これら条件が固液・気液界面での沈着・脱離速度に与える影響を定量的に把握する。本研究では、マイクロ間隙流路に加え、土壌中のコロイド粒子および汚染物質挙動の解明に向けた土壌カラム実験を実施する。土壌カラム実験として,模擬汚染土壌カラムへのコロイド粒子注入実験を行う。異なる環境条件で土壌からのコロイド粒子・汚染物質流出特性を調べ,マイクロ間隙流路実験で得られたコロイド粒子の界面近傍での捕捉実態を定式化し間隙構造パラメータを考慮した物質移動パラメータ(分散係数,捕捉係数など)の予測モデルを提案する。最後に、得られた成果を統合し、コロイド粒子およびコロイド粒子担体汚染物質の土壌内移動モデルの構築を行なう。

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2022年11月2日作成

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