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2022(令和4) 年度 生存圏科学 共同研究 4

更新日: 2022/11/02

研究課題

熱帯荒廃草原におけるイネ科バイオマス資源の持続的生産に基づく炭素隔離

研究組織

 代表者 梅澤俊明(京都大学生存圏研究所)
 共同研究者 小西哲之(京都大学生存圏研究所)
梅村研二(京都大学生存圏研究所)
優(京都大学大学院農学研究科)
飛松裕基(京都大学生存圏研究所)
八木重郎(京都大学エネルギー理工学研究所)
サフェンドリ・コマーラ・ラガムスタリ(インドネシア研究イノベーション庁生物学研究センター)
関連ミッション
  • ミッション1 環境診断・循環機能制御
  • ミッション2 太陽エネルギー変換・高度利用
  • ミッション4 循環材料・環境共生システム
  • ミッション5 高品位生存圏

研究概要

背景

我が国をはじめ世界各国に於いて、2050年頃までの社会全体でのカーボンニュートラル達成に向けた様々な動きが急加速している。そして、この動きは2020年当初からのCOVID-19感染症の世界的蔓延や2022年に勃発したウクライナ危機の結果一層加速されている。この目標達成には化石資源依存を可能な限り削減することが必須であり、代替資源としてのバイオマスの持続的生産と利用が必須となってくる。一方代表的バイオマス資源である森林資源の半分は燃焼利用されており、そしてその多くは今なお、天然林伐採に依存している。例えば、インドネシアなどの東南アジアでは大規模な森林開発が1970年代前半以降続いたが、その結果、広大な熱帯林伐採跡地にイネ科の雑草である(Imperata cylindrica、和名:チガヤ、インドネシア語:アランアラン)などからなる荒廃草原(1000万ha)が発生している。今後見込まれるバイオマス利用の増加に対しては、持続性の観点からこれ以上天然林を切り込むことはできず、既に発生した荒廃草原を持続的に利用することが必須となっている。以上に鑑み、研究代表者梅澤と研究分担者梅村・小林らは、インドネシア研究イノベーション庁と熱帯荒廃草原の植生回復とバイオマスエネルギー・木質材料生産に関する国際共同研究をJICA/JSTの支援の下で実施してきた。一方、小西らはバイオマスと核融合や太陽光発電などを組み合わせた炭素隔離プロジェクトを別途進めてきた。今後大幅にかつ積極的に大気中二酸化炭素濃度を削減するためには、地球上の炭素サイクルの系外に炭素を排出するいわゆる炭素隔離が本質的に重要であり、梅澤らの進めてきたバイオマスの持続的生産と小西らの進めてきた炭素隔離研究を融合した持続的体系の構築が強く求められる。

目的

熱帯荒廃草原を活用したバイオマスエネルギーの生産に適し、さらに炭素隔離に適するイネ科バイオマス植物を開発するとともに、高発熱型草本バイオマスの吸熱炭化ガス化処理システムを開発することにより、先進エネルギーとバイオマス生産、炭素隔離の持続可能システムを構築する。

特色

本研究の究極目標である荒廃草原を用いたバイオマス生産利用とこれにリンクさせた炭素隔離は、人類が生存を続けるために必須の多様性・環境保全と経済性の高次の妥協点の追求の基盤となる地球規模課題である。本課題は、バイオマス生産・育種・利用研究と核融合研究に関する国際協働研究であり、荒廃草原の植生回復と二酸化炭素固定量増加の両面に貢献する世界に類例のない独自の総合的研究である。ここに本研究の特色がある。

生存圏科学とのかかわり

本課題は、今後大幅にかつ積極的に大気中二酸化炭素濃度を削減するために必須のバイオマスの持続的生産に基づく炭素隔離系の構築を進めるものであり、持続可能社会の構築に本質的に適合するという観点から、生存圏科学の中心課題として位置づけられる。

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2022年11月2日作成

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