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2017(平成29) 年度 生存圏科学 萌芽研究 8

更新日: 2017/07/26

研究課題

位相共役回路を用いた自己発振型マイクロ波電力伝送システムの研究

研究組織

 代表者 松室尭之(龍谷大学理工学部)
 共同研究者 篠原真毅(京都大学生存圏研究所)
石川容平(京都大学生存圏研究所)
関連ミッション
  • ミッション2 太陽エネルギー変換・高度利用

研究概要

将来の宇宙太陽発電システムに向けた信頼性の高いデバイスの実現には、地上におけるビーム型マイクロ波送電システムの実用化が重要である。近年、地上におけるビーム型マイクロ波送電システムの有力な応用例のひとつとして、図 1に示すような洋上の再生可能エネルギーを収集するシステムが提案されている。このようなシステムでは、風雨や気象条件によって送受電アンテナの角度や伝送路の屈折率が時間的に変化することが予想される。したがって、周囲への電波漏洩による通信との干渉や人体への影響を最低限に抑えるためには、目標の受電アンテナに向けて高速にビームを制御する手法の開発が求められる。

受電アンテナに向けたビーム制御手法として、レトロディレクティブシステムがよく知られている。レトロディレクティブシステムとは、まず初めに受電アンテナからパイロット信号を放射し、送電アンテナではパイロット信号の共役位相を用いてエネルギービームを再放射する手法である。これまでの研究によって我々は、パイロット信号をビーム状に放射することにより地面や海面におけるマルチパスの影響を低減したレトロディレクティブシステムを考案し、その有効性を示した(図 2)。しかし、これまでのシステムではパイロット信号のビーム方向は能動的に制御する必要があった。そこで本研究では、位相共役回路を用いた自己発振型マイクロ波電力伝送システムを新たに提案する。このシステムを用いることにより、大気のゆらぎに対応した高速なビーム制御が可能となることが期待される。

参考文献

[1] T. Matsumuro, Y. Ishikawa, T. Mitani, N. Shinohara, M. Yanagase and M. Mayumi, “Study of a single-frequency retrodirective system with a beam pilot signal using dual-mode dielectric resonator antenna elements,” Wireless Power Transfer, May 2017.

松室尭之: 2017(平成29)年度生存圏科学萌芽研究 図 1
図 1. 洋上の再生可能エネルギーを収集するマイクロ波送電システムの概要

松室尭之: 2017(平成29)年度生存圏科学萌芽研究 図 2
図 2. ビームパイロット信号を用いたエネルギー伝送のシミュレーション結果

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2017年7月26日作成

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