研究課題
固体高分解能NMRによる13Cラベル化セルロースIIの構造解析
研究組織
代表者 | 久住亮介(京都大学農学研究科) |
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共同研究者 | 今井友也(京都大学生存圏研究所) 和田昌久(京都大学農学研究科) |
関連ミッション |
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研究概要
近年,固体NMRの装置および方法論の発展は著しく,感度・分解能とも急速に向上している.特に,マジック角回転法(MAS)は数十~100 kHzクラスの超高速域に達しており,超強磁場下での固体NMRの課題であったサイドバンドの問題が解決するとともに,従来は同種核間双極子相互作用により困難であった1Hスペクトルの高分解能化も可能となってきた[1].また,中低速MAS下でのCRAMPS測定においても多重パルスシーケンスの改良が進み,デカップリング性能が大きく向上している[2].なお,重水素化溶媒へ溶解させる溶液NMRとは異なり,固体NMRでは重水素置換が起こらないため,水酸基の1H共鳴ピークも観測することができる.
そこで本研究では,試験管内系で合成した13Cエンリッチ-セルロースIIを高速MAS下での固体高分解能NMRに供し,各種二次元測定や1Hの直接観測を通じて,13C/1H共鳴ピークの完全帰属や分子内/分子間水素結合など固体状態での局所構造解析を試みる.セルロースIIの結晶構造は一軸高配向試料の繊維回折図から決定されているが,本研究を通じて得られる情報により,構造モデルの精密化が達成可能と期待される.
参考文献:[1], Y. Q. Ye et al., J. Magn. Reson., 239, 75 (2014); [2], A. L. Webber et al., Phys. Chem. Chem. Phys., 12, 6970 (2010).
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2017年7月27日作成