研究課題
マメ科植物-根粒菌共生の宿主特異性決定因子の同定
研究組織
代表者 | 髙梨功次郎(信州大学山岳科学研究所) |
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共同研究者 | 矢崎一史(京都大学生存圏研究所) 池田啓(岡山大学資源植物科学研究所) |
研究概要
マメ科植物はその根において根粒菌との共生による窒素固定を行う。そのため、他科の植物と比べて窒素栄養を効率よく得ることができ、貧栄養土壌でも生育可能である。こうした特性は土壌が貧弱な高山帯においても有利であり、高山の礫地などにはマメ科植物がパイオニアとして生育する。根粒菌は種特異的にマメ科植物と共生しており、その種特異性を決定する因子としてこれまで細胞外多糖の構造や、根粒菌が有する共生遺伝子の種類などが報告されている。しかしながら、それらだけでは共生の宿主特異性の全てを説明することは出来ず、未解明な部分は多い。
本研究では、マメ科-根粒菌共生の宿主特異性に関わる因子の同定を試みる。材料として、高山に生育するマメ科植物-根粒菌共生系を用いる(図)。現在の日本の高山植物は、カラフトおよび千島列島から南下して日本に侵入し、第四紀の最終氷期(約2万年前)以前には日本各地の高山に地理的に隔離にされたと推測されている。そのため、高山におけるマメ科植物-根粒菌共生系は遺伝子汚染がほとんど無く、ゲノム解析研究のモデル実験系として適している。本研究では、各山域で採取した根粒菌のゲノムを解析して、宿主ごとに共通する配列および構造を見出すこと、およびその共通配列の最小単位を決定することを目的とする。
図 本研究で用いるマメ科植物とその根粒
イワオウギ(左)とオヤマノエンドウ(右)
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2015年7月14日作成