研究課題
歴史文献中のオーロラ及び黒点記録を用いた過去の太陽活動の研究
研究組織
代表者 | 磯部洋明(京都大学総合生存学館) |
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共同研究者 | 海老原祐輔(京都大学生存圏研究所) 片岡龍峰(国立極地研究所) 早川尚志(京都大学文学研究科) 玉澤春史(京都大学理学研究科) 河村聡人(京都大学理学研究科) |
研究概要
本研究の目標は、歴史文献中の記述された天体現象、特にオーロラと黒点の観測記録を、太陽活動及びオーロラ・地磁気嵐の自然科学的な研究に役立てることである。マウンダー極小期や極端宇宙天気現象など、太陽活動の長期的変動とその人類生存圏への影響に関する関心は高まっている。従って過去の太陽活動の情報は非常に重要であるが、その情報はこれまで主に年輪や氷床コア等に含まれる放射性同位体の解析から得られていた。一方、近代科学観測が始まる以前のオーロラや黒点の観測が歴史文献に見いだされることは古くから知られており、いくつかの先駆的な研究があるものの、自然科学的な文脈での参照はごく限られていた。しかし近年、太陽型恒星での超巨大フレアの発見(Maehara et al. 2012, Nature)や、放射性同位体の解析による8~10世紀の極端な宇宙線イベント(Miyake et al. 2012, Nature)など、近代観測の開始以降まだ起きていないような極端宇宙天気現象が太陽で起きる可能性が示唆されていることから、過去の太陽活動に関する独立した情報源への科学的要請が極めて高まっている。一方文献学の峰でも、中国古典のデジタルデータベース化が進んだり、画像認識による歴史文献のデジタル化(テキスト化)が可能になったりするなど、歴史文献からオーロラ・黒点に関する記録のサーベイを行うための基盤が形成されつつある。
このため本研究では、まずデジタルデータベース化されている中国文献中のオーロラ・黒点記録のサーベイを行う。また並行して、将来的な中国以外の文献への調査の拡大の準備として、西アジア・ヨーロッパの有用な文献の調査と、京都の寺社に未読のまま埋もれている文献活用のための予備的な調査を行う。成果はインターネットで公開して、研究者コミュニティに提供する。
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2015年9月16日作成