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2013(平成25) 年度 生存圏科学 萌芽研究 2

更新日: 2017/09/23

研究課題

樹木の木部の構造改質による材料開発
—力学的性質の異なる樹木から力学的性能の均一な材料へ—

研究組織

 代表者 石倉由紀子 (北海道立総合研究機構林産試験場)
 共同研究者 阿部賢太郎 (京都大学生存圏研究所)

研究概要

樹木は、地球上に豊富に存在する再生可能な資源であり、古くから木材やパルプ原料として広く使用されている。特に、樹木の木部は、長い時間をかけて形成された、強固な構造を有しており、分子鎖方向の弾性と強度に優れた結晶性高分子であるセルロースミクロフィブリルがリグニンやヘミセルロース等のマトリックス物質に埋め込まれた細胞壁構造を有する、たくさんの細胞からなる。しかし、樹木は、樹種や生育環境によって、多様な木部の構造を形成するため、形成される木部の力学的性質は、様々に異なる。そのため、樹木から得られる、我々の生活で使用する木材や紙等の「材料」には‘力学的性能のばらつき’が生じる。

そこで、本研究では、原材料である樹木の木部の力学的性質に依存することなく、全ての森林資源を有効に利用するため、木部の構造を改質することにより、力学的性質の異なる樹木の木部から、より均一な力学的性能を有する材料を得るとともに、力学的性質の違いに寄与する木部の構造を明確にすることを目指す。すなわち、木材や紙等の材料の‘力学的性能の違い’に寄与する‘樹木の木部の階層構造の違い’を、物理的・化学的な処理により、段階的に取り除き、木部の構造を均一な構造に近づけることで、力学的性質の異なる樹木から、力学的性能の均一な材料を得る条件を見出すことを目的とする。さらに、階層構造の違いを取り除く各過程において、木部の構造と材料特性の関係を詳細に把握し、木部の力学的性質および材料性能の違いに寄与する木部の構造をより明確にすることで、樹木が形成する木部の構造と性質についての理解を深め、樹木由来の材料の信頼性の向上、さらには、地球上に豊富に存在する森林資源の適切な利用を目指す。

本研究により、樹木の木部の力学的性質に依存しない、森林資源由来の信頼性の高い力学的性能の均一な材料が得られるとともに、力学的性質に寄与する木部の構造をより明確にすることから、再生可能な資源をつくり出す樹木の構造と性質を理解した持続的・循環型生存圏の構築に貢献することが期待される。

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2013年7月30日作成

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