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2012(平成24) 年度 生存圏科学 萌芽研究 8

更新日: 2017/09/23

研究課題

濃厚ポリマーブラシ付与セルロースナノ構造体が形成する階層構造薄膜の光学材料への展開

研究組織

 代表者 榊原圭太 (京都大学化学研究所)
 共同研究者 阿部賢太郎 (京都大学生存圏研究所)
辻井敬亘 (京都大学化学研究所)

研究概要

セルロースナノ構造体と呼ばれるセルロースナノファイバー(CNF)やセルロースナノ結晶(CNC)は優れた物性(軽量・高弾性率・低熱膨張係数・透明性)を有しており、環境負荷の少ないナノマテリアルとして、近年注目を集めている。これら物質の表面に合成高分子をグラフト化することで、セルロースの特徴(光学活性・キラリティーなど)と合成高分子の特徴(熱可塑性・易加工性・高耐摩耗性など)を融合した新規な材料を創出し得ると期待される。このため、セルロースの修飾・グラフト化はすでに様々な方法が考案され、研究されてきた。とりわけ、セルロースに存在する水酸基に導入された重合開始基からポリマーをグラフト化する表面開始グラフト重合は、盛んに研究されている。一般に、表面開始グラフト重合にリビングラジカル重合を適用することで、一次構造が明確な“濃厚”ポリマーブラシの合成が可能である。濃厚ポリマーブラシは、その高い浸透圧と高伸張配向構造に基づき、高圧縮弾性率、極低摩擦特性、サイズ排除特性、及び生体適合性などの新規な表面特性・機能を発現する(Tsujii et al. Adv. Polym. Sci. 2006, 197, 1)。特に近年、濃厚ポリマーブラシが階層構造化のための駆動力として利用できることが明らかとなっている(Sato, Tsujii et al. Adv. Mater. 2012, 23, 4868.)。そこで本研究では、セルロースナノ構造体の物性、セルロース鎖のキラリティー、並びに「濃厚ポリマーブラシ」という分子組織体機能の融合により、セルロースならではの特徴を有する光学薄膜材料(液晶や配向膜)の創出を目指す。

榊原圭太: 2012(平成24)年度 生存圏科学萌芽研究

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2012年7月31日作成

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