研究課題
高機能木質材料生産への応用を目指したケイ皮酸/モノリグノール経路阻害剤の開発
研究組織
代表者 | 渡辺文太 (京都大学化学研究所) |
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共同研究者 | 梅澤俊明 (京都大学生存圏研究所) 平竹潤 (京都大学化学研究所) |
研究概要
ケイ皮酸/モノリグノール経路は、リグニン、リグナン、クマリン、フラボノイドといったフェニルプロパノイド系化合物生合成の初発段階であり、植物の二次代謝において中心的な役割を担っている。本経路から生合成されるフェニルプロパノイド系化合物には様々な生物活性を有するものが数多く知られている。例えば、ポドフィロトキシン類は殺虫活性を示すため、これらの化合物を多量に含む木材は、高い防虫機能を持つと予想される。ケイ皮酸/モノリグノール経路は、多数の酵素が関与する複雑な経路であるが、選択的酵素阻害剤を組み合わせることで、特定のフェニルプロパノイド化合物を高度に生産させることが可能と考えられる。
本萌芽研究はその第一段階として、ケイ皮酸/モノリグノール経路の鍵酵素 4CL (4-ヒドロキシケイヒ酸 CoA リガーゼ)に着目した。4CL は、アシル活性化酵素スーパーファミリーのひとつであり、アシル基と ATP が縮合したアシルアデニル酸活性化中間体を経由するという共通の反応機構を持つ。そこで、この中間体をミミックすることにより、高い酵素阻害活性と選択性を兼ね備えた阻害剤を設計することができる。我々は既に、スルファミド系中間体アナログ阻害剤が、アシル活性化酵素を強く阻害することを見出している。そこで本研究では、標的とする酵素 4CL の基質構造に着目し、アシル基に対応する部分にケイ皮酸およびその誘導体を縮合したスルファミド系化合物を合成する。さらに、酵素試験や各種生物試験に供して、4CL の選択的阻害が本生合成経路に与える影響を明確にする。
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2010年7月30日作成