研究課題
水蒸気量の鉛直分布のデータ同化による降水予測精度へのインパクト評価
研究組織
代表者 | 山口弘誠 (京都大学生存基盤科学研究ユニット) |
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共同研究者 | 古本淳一 (京都大学生存圏研究所) 中北英一 (京都大学防災研究所) |
研究概要
近年、都市部で豪雨災害が頻発しており、人類の持続的生存の基盤を築くために、河川流出管理・ダム操作・下水道の排水処理といった防災の観点から、数時間先~半日先における降水量を高精度に予測することが極めて重要である。気象予報モデルを用いた降水予測において、様々な観測値をモデルに取り込み(データ同化)、モデル初期値をより現実らしく与えることが有効であり、水蒸気量をモデル初期値に正確に与えることで降水予測精度が格段に向上することが明らかになってきた。一方で現業の予測手法では GPS 遅延量観測による可降水量、すなわち水蒸気の鉛直積算量(しかも空間的に疎である)をデータ同化しているに過ぎず、水蒸気量の鉛直・空間分布を適切に表現することができないために、効果的な降水予測の向上には至っていない。
さて、最先端の研究レベルにおける水蒸気観測手法として、GPS 遅延量観測と鉛直方向の音波観測を組み合わせることで水蒸気の鉛直分布を推定することができる。そこで、水蒸気量の鉛直分布をモデルへデータ同化する手法を開発することで、従来までの鉛直積算量をデータ同化する場合と比較してどれほど降水予測へ効果があるのか明らかにする。加えて、日本において国土交通省による X バンド(小型)の偏波ドップラーレーダー網が現業用として平成 22 年度から都市部に配備された。これまでに確立してきたレーダー反射因子とドップラー風速の同化に加えて、本研究で水蒸気量をデータ同化することで、複数の観測情報のデータ同化による相乗効果が得られるかどうかを明らかにする。
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2010年7月30日作成