研究課題
古くて新しい紙の超高強度化に関する研究
研究組織
代表者 | 阿部賢太郎 (京都大学次世代開拓研究ユニット) |
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共同研究者 | 矢野浩之 (京都大学生存圏研究所) 梅村研二 (京都大学生存圏研究所) |
研究概要
本研究は植物から単離したセルロースナノファイバーが織り成す紙 “ナノペーパー” の作製と、その高強度化を目的としている。
紙の研究は古くから行われており、その高強度化に関する研究も数多く行われている。紙の原料である植物パルプは、繊維細胞の細胞壁から構成されている。この植物細胞壁の主成分であるセルロースは幅数 nm のナノファイバー、いわゆるセルロースミクロフィブリルと呼ばれる状態で存在しており、植物細胞壁もまたナノレベルの紙であると言える。
そこで本研究では植物細胞壁から単離したセルロースナノファイバーを用いて、高度に構造化された新しい紙 “ナノペーパー” を作製する。このナノペーパーは、ミクロフィブリルの高い剛性、ナノ形状による緻密な充填構造および強力な繊維間水素結合により、従来の紙の性質をはるかに上回る高い機械的性質を示すであろう。
さらに従来の紙の高強度化技術を適用することにより、さらなる高強度化を行い、世界一強い紙の作製を目指す。具体的には、ナノファイバーの絡み合いおよび凝集の制御や、ナノファイバー間の接着および架橋等を幅広く検討することよって、植物のセルロースミクロフィブリルが本来有する高い物性を最大限活かし、かつ簡便に作製される超高強度紙の作製に努める。近年軽量かつ高い剛性を活かしてバクテリアセルロースや竹繊維から作製したスピーカ用振動板材料が開発および実用化されており、世界一強い紙は従来の紙の用途を超える幅広い応用展開が期待される。
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2010年7月30日作成