研究課題
マイクロフォーカスX線CTを用いたアメリカカンザイシロアリの食害部分の可視化と残存強度の評価
研究組織
代表者 | 簗瀬佳之 (京都大学・農学研究科) |
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共同研究者 | 森拓郎 (京都大学・生存圏研究所) 藤原裕子 (京都大学・農学研究科) |
研究概要
住宅の長寿命化に関わるニーズや地球環境問題の高まり等から、高い耐久性を有する住宅が求められてきている。そして腐朽菌やシロアリによる生物劣化の診断および評価技術の確立が早急の課題である中、近年、北米産の木材や家具の輸入などによるアメリカカンザイシロアリの日本への定着とともに、その被害が年々広がっているという現状がある。日本で経済的に重要であるイエシロアリやヤマトシロアリとは異なり、主に乾燥した木材を食害するため、住宅における食害箇所を適切に把握することが非常に困難である。そのため、アメリカカンザイシロアリの被害状況や住宅内での生息環境、さらには食害材の残存強度などほとんどわかってない。
現在、生物劣化診断に利用されつつある装置は、そのほとんどが接触式あるいは木材を穿孔するものであり、超音波の速度や穿孔抵抗を測定し、劣化の度合いを判断するものである。そこで、本研究では、非接触かつ非破壊的に木材内部の食害による空洞部分を高分解能で測定できるマイクロフォーカス X 線 CT を用い、アメリカカンザイシロアリの食害速度や食害状況の可視化を試みるとともに、食害による木材の密度低下や材料欠損の状況を把握する。最終的に、X 線 CT によって得られた木材欠損体積と食害材の強度試験から得られた残存強度との関係を評価することを目標とする。
本研究は、木材を長期にわたって利用するために、木材の生物劣化を評価し、残存強度との関係を明らかにする基礎的な研究である。そして今後さらに拡大するアメリカカンザイシロアリ被害の診断・防除方法の開発に有用な情報をもたらすと考えられる。
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2009年10月6日作成